谷口禎一

谷口禎一（たにぐち さだかず）は、1933年4月28日に生まれ、2008年11月16日に亡くなった日本の外交官です。大阪府出身で、大阪府立清水谷高等学校を経て、1956年に東京大学法学部を卒業後、外務省に入省しました。

外交官としてのキャリアの中で、谷口氏はアルゼンチン公使、ボストン総領事などを歴任。1989年には駐イスラエル特命全権大使に任命され、1992年3月からは関西担当の特命全権大使、政府代表を務めました。1993年4月からは駐ニュージーランド兼西サモア大使として、1996年までその任にあたりました。

関西大使時代には、40年ぶりに大阪で生活する中で、イスラエルでの経験を踏まえ、「エルサレムも京都も資源のない国であり、人間の知恵によって発展した」という視点から、東京一極集中に対抗するのではなく、「現実の東西格差を前提とした上で、質で勝負する」という考えを提唱しました。また、「“関西県”を作る発想にはあまり賛成できない」としながらも、「大阪、京都、神戸など、それぞれの都市が適正なサイズと個性を目指す“関西圏”」として、東京よりも長い歴史の中で培われた関西の伝統と独自の視点を活かして、世界への発信機能を強化することを提言しました。

1994年には、ニュージーランド大使在任中に、旧知の文楽協会理事長であった上山善紀（近畿日本鉄道会長）の依頼を受け、自身の故郷である大阪発祥の伝統芸能である文楽（人形浄瑠璃文楽）のニュージーランドとオーストラリアでの海外公演（人間国宝である人形遣いの吉田玉男らも参加）を成功させるために尽力しました。

谷口禎一は、2008年11月16日に肺炎のため75歳で逝去。同日付で従三位瑞宝中綬章を授与されました。

著書として、共著『時の法令』（雅粒社、1953年）があります。

谷口氏の外交官としての活躍は多岐に渡りますが、特に地域性を生かした発展を重視し、伝統文化の海外発信にも貢献した人物として、その功績は記憶されるべきでしょう。

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