谷合廣紀

谷合廣紀（たにあい ひろき）

谷合廣紀は1994年1月6日、東京都中央区に生まれた日本の情報工学者であり、将棋棋士でもあります。彼は東京大学の工学部を卒業し、現在は大学院で電子情報学を専攻する傍ら、将棋界でも目覚ましい成績を上げています。棋士番号は323です。

将棋棋士としてのキャリア

谷合は6歳の頃からアマチュア将棋の有段者である祖父に教わり、将棋を始めます。2006年には新進棋士奨励会に6級で入会し、将棋の道を歩み始めました。2011年9月には三段に昇段し、同年の下期から三段リーグに初参戦しますが、2016年までの8年半にわたり三段リーグに留まります。

2019年には第66回三段リーグで14勝4敗を挙げ、リーグ2位となって2020年4月1日付で四段昇段を果たし、プロ棋士としての道を歩み始めます。この時、東京大学出身のプロ棋士として、片上大輔に次いで史上2人目、女流棋士を含めると3人目となりました。

後の2021年度には棋王戦で窪田義行に勝利し、本戦トーナメントに進出しましたが、2022年には順位戦で最終局を残した状態で降級点が確定してしまいました。これらの結果が彼の将棋人生において重要なターニングポイントとなります。

情報工学者としての取り組み

将棋棋士としての活動を続ける一方で、谷合は情報工学の研究者としても注力しています。高校3年時には三段リーグに参加しながらも大学受験に挑戦し、東京大学理科一類に現役合格を果たしました。大学では電子情報学を専攻し、2014年には将棋盤面の画像解析による棋譜自動記録プログラムの開発に成功しました。

2019年には自動車技術会主催の大会に参加し、チーム「MTLLAB」としてシナリオ完走部門と制御精度部門で優勝。これにより、ベンチャー企業からスカウトを受け、車載画像認識アルゴリズムの開発に携わることとなります。また、プロ入り後も指導教官である坂井修一の元で研究を続けるという公表があります。

さらに、コンピュータ将棋の開発やゲーム情報学の研究も行い、2021年にはMCTSとBERTを応用した将棋エンジンを開発し、YouTubeで公開しました。Pythonをテーマにした国際カンファレンスにも登壇し、幅広い活動を続けています。

人物像

谷合は「目標をあえて一つに絞らない」という集中法を持ち合わせ、酒を好む一面もあります。特にビールや日本酒が好きで、将棋棋士の行方尚史と親交があります。彼は行方との飲み会が多く、統計解析に関する書籍を共著で出版することに至った背景もあります。

彼はピアノも長年続けており、20年近くピアノ教室に通っています。また、2022年には吉本興業とマネジメント契約を結び、将棋を愛する芸人たちとの活動にも参加することが発表されました。2024年には「M-1グランプリ」に出場する意向が報じられ、将棋界の枠を超えた活動にも挑戦しています。

彼の多様な能力と興味は、将棋界と情報工学の双方において貴重な価値をもたらしています。

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