谷本政一

谷本政一：海軍、陸上自衛隊、実業界を駆け抜けた異色の人物

谷本政一（たにもと まさかず、1904年6月28日 - 没年不明）は、日本の海軍軍人、陸上自衛官、そして実業家として、その生涯を多岐にわたる分野で活躍した人物です。

軍人としての経歴

谷本は香川県香川郡檀紙村（現・高松市檀紙）に生まれました。一部文献では神奈川県出身との記載もありますが、香川県出身とするのが有力です。1924年（大正13年）に海軍機関学校（33期）を卒業し、30年以上にわたり武官としての道を歩みました。1943年（昭和18年）には海軍中佐に昇進し、海軍航空本部部員、海軍省人事局局員、兼軍需省軍需官として終戦を迎えました。特に、光海軍工廠の建設において中心的な役割を果たし、その活動の基礎を築いたことは広く知られています。

陸上自衛隊での活躍

戦後、谷本は警察予備隊に入隊し、1952年（昭和27年）から1953年（昭和28年）まで陸上自衛隊武器学校の初代校長を務めました。その後、防衛庁陸上自衛隊需品補給処長、同武器補給処長を歴任し、1956年（昭和31年）には陸将補に昇進しました。

実業家への転身

1961年（昭和36年）、谷本は東邦特殊自動車工業（現・新明和工業）の常務取締役に就任し、陸将補から実業界へ転身するという異色のキャリアをスタートさせました。その後、1964年（昭和39年）には東急車輛製造の取締役兼大宮工場長に就任し、1968年（昭和43年）に退任するまで、その経営手腕を発揮しました。

人物像

谷本は狩猟とゴルフを趣味とし、妻の清子との間に3男4女をもうけました。長女の有馬真喜子は評論家・ジャーナリストとして知られ、朝日新聞社初の女性記者となりました。長男の政知は三菱重工業に勤務し、三男の政則は技術者としていすゞ自動車に勤めました。また、随筆家の谷本真由美は、三男・政則の長女にあたります。

谷本の性格は「寛仁大度」と評されており、軍権が華やかだった時代を経ながらも、その人柄は失われることがなかったとされています。『現代人物史』にもその人格が紹介されています。

家族

妻：清子（1908年生）
長女：有馬真喜子（1933年生） - 評論家・ジャーナリスト
長男：政知（1935年生） - 三菱重工業勤務
三男：政則（1943年生） - いすゞ自動車技術者、谷本真由美の父

参考文献

実業之世界社編『現代人物史』、実業之世界社、1966年。
人事興信所編『人事興信録 第25版 下』人事興信所、1969年。
* 高松百年史編集室編『高松百年史 資料編』高松市、1988年。

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