豊国火災保険

豊国火災保険株式会社について

豊国火災保険株式会社は、かつて大阪府に存在した損害保険会社です。1911年または1912年に設立され、本社を大阪市北区曽根崎新地に置いていました。資本金は300万円で、東京海上火災保険、明治火災保険、三菱海上火災保険などが主要な株主でした。

黎明期と苦難

設立当初、豊国火災保険は日本帝国領土内での火災保険業務に専念していましたが、業績は低迷し苦戦を強いられていました。しかし、1916年に大きな転換期を迎えます。島徳蔵社長の後を受け、専務であった大谷順作が社長に昇進し、経営改革に着手しました。

事業拡大と成長

大谷順作社長は、まず社内の組織改革を断行し、営業地域を拡大しました。海外の通商条約締結国にも進出し、さらに海上保険業務も開始したことで、業績は著しく向上しました。これにより、豊国火災保険は日本の損害保険業界において、確固たる地位を築き、有力な会社として知られるようになりました。

取り扱い保険種

『損害保険会社の見方』によれば、豊国火災保険は「火災保険」「海上保険」「運送保険」「傷害保険」「自動車保険」「信用保険」の6種類を取り扱っていました。

合併と終焉

1943年、豊国火災保険は東洋海上火災保険、福寿火災保険と合併し、日新火災海上保険として新たなスタートを切ることとなりました。

歴代役員

『日本全国諸会社役員録 第21回』（1913年）
社長：島徳蔵
専務取締役：大谷順作
取締役：尼崎伊三郎、阿部彦太郎、志方勢七、太田貞雄
監査役：浜崎健吉、小林林之助
相談役：片岡直温、高崎親章

『日本全国諸会社役員録 第27回』（1919年）
社長：大谷順作
取締役：島徳蔵、尼崎伊三郎、阿部彦太郎、志方勢七、太田貞雄、前島弥
監査役：浜崎健吉、小林林之助

『日本全国銀行会社録 第47回』（1937 - 1939年）
社長：大谷順作
専務取締役：中島好太郎
取締役：尼崎伊三郎、阿部彦太郎、実吉雅郎、辻川瀧之助、亀山俊蔵
監査役：岸本吉左衛門、小林林之助

支店・出張所・支部

大阪支店（本店内）
東京支店（東京市麹町区丸の内2丁目）
横浜支店（横浜市中区弁天通5丁目）
名古屋支店（名古屋市西区御幸本町通6丁目）
神戸支店（神戸区栄町通5丁目）
九州支店（福岡市橋口町）
新京支店（新京特別市八島通）
京城出張所（京城府黄金町1丁目）
京都出張所（京都市下京区烏丸通綾小路下ル）
仙台支部（仙台市南町）
* 広島支部（広島市尾道町）

まとめ

豊国火災保険は、困難な時期を乗り越え、経営改革によって大きく成長した損害保険会社でした。その事業展開は、当時の日本の保険業界に大きな影響を与えました。合併によりその歴史に幕を閉じましたが、その名は日本の損害保険史に刻まれています。

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