豊島景村

豊島 景村（としま かげむら）の生涯

豊島景村は、鎌倉時代の終わりから南北朝時代にかけて活動した武将であり、父は豊島泰友、養子には豊島輝時を持っています。景村の名は、その後の「としまえん」の由来にもなった重要な人物です。

家族と家督継承

景村は、兄・泰景の死後、幼少の甥・朝泰の後見人となり、家督を継承しました。これにより、彼は武蔵国石神井城の主となり、豊島郡、足立郡、新座郡、多摩郡、児玉郡等の広大な所領を持つことになります。元亨年間（1331年 - 1334年）には、王子権現社の修復を行い、その名声を広めました。

中先代の乱と時行の匿匿

建武2年（1335年）、鎌倉幕府最後の得宗・北条高時の遺児である時行が挙兵しましたが、足利尊氏の攻撃を受けて鎌倉を追われます。逃亡中、時行は景村の館に匿われ、ここで子を授かりました。しかし、景村には子どもがいなかったため、その子を養子として迎え入れ、輝時という名を与えました。

南北朝の動乱と忠勤

南北朝の争乱が勃発すると、景村は新田義貞や義興に従い南朝に忠義を尽くしました。この功績によって、彼は従五位下の左近大夫に任じられました。豊島氏の中興の主としての評価も受け、甥の朝泰が成人した際には家督と所領をすべて返還しました。

複雑な歴史的背景

しかし、南朝に忠勤していたという評価には疑問もあります。「豊島宮城文書」において、北朝（足利氏）からの書状が残存していることから、実際には豊島氏が南北朝の動乱の早期から北朝に与していたことが伺えます。また、中先代の乱以降、時行が景村の館で一子をなしたとされていますが、時行が幼少であったことからこの話も疑わしいとの指摘がされています。実際には、江戸時代の家伝や寺伝には創作的な要素が含まれていることが多く、特に景村の名が豊島宮城系図に見当たらないことがその一例として挙げられます。

近年の研究

以上のような様々な事実から、近年の豊島氏に関する研究では、南朝に仕えたとされる景村やその養子の輝時についての議論はあまり行われていないのが現状です。彼らが実際にどのような役割を果たしていたのか、今後の研究が望まれます。

参考文献

• - 杉山博『豊嶋氏の研究』（名著出版、1974年）
• - 峰岸純夫、黒田基樹、小林一岳編『豊島氏とその時代―東京の中世を考える』（新人物往来社、1998年）ISBN 9784404026170

このように、豊島景村は武将としてだけでなく、家族の後見や所領管理においても重要な役割を果たしましたが、その評価には様々な見解が存在することが分かります。

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