豊川稲荷大阪別院

豊川稲荷大阪別院：商売繁盛の神を祀る大阪の寺院

豊川稲荷大阪別院は、大阪府大阪市天王寺区に位置する曹洞宗の寺院です。正式名称は観音寺で、愛知県豊川市にある豊川稲荷妙厳寺の別院として知られています。商業都市大阪において、古くから商売繁盛の神として多くの人々から信仰を集めてきた歴史ある寺院です。

歴史：明治時代の創建から現代まで

大阪別院の起源は明治31年（1898年）にまで遡ります。当時、この地の地主であった萩田利平氏が、地域の発展を願って豊川稲荷から吒枳尼天を勧請し、稲荷堂を建立したのが始まりです。その後、明治38年（1905年）頃には、妙厳寺の末寺である観音寺が当地に移転、妙厳寺住職の嘉硯黙童を初代開山として正式な寺院として発足しました。当初は妙厳寺から派遣された院代が住職を務めていましたが、現在では独自の運営体制が確立されています。

長年に渡り、多くの個人商店主から篤い信仰を集め、商売繁盛の象徴として親しまれてきました。しかし、時代の変化とともに信仰の様相にも変化が見られるようになってきています。

境内：本殿、奥の院、そして古代寺院跡

境内には見どころが豊富です。まず目を引くのは、2階建ての本殿です。1階は本尊の十一面観音を祀る本堂、2階は吒枳尼天を祀る稲荷本殿となっています。2階の本殿へは、外部階段から直接アクセスできます。

本殿の横には奥の院があり、平八郎稲荷が祀られています。平八郎とは、豊川稲荷の創建に関わった東海義易に仕えた狐で、吒枳尼天の食事の世話をする稲荷として信仰されています。

さらに境内からは、古代の瓦片が多数出土しており、飛鳥時代の寺院跡と推定される「堂ヶ芝廃寺」の遺構も確認されています。この寺院跡は、渡来人の百済王氏の氏寺である百済寺ではないかと推定されています。歴史と信仰が重なり合う、奥深い境内となっています。

勤行次第：独自の経本

豊川稲荷は信者向けの勤行次第（お経本）を発行していませんが、大阪別院では明治41年（1908年）に独自の勤行次第を一千部ほど施本しました。その内容は、妙厳寺の創建者である東海義易が定めた吒枳尼天への勤行作法を、在家信者向けに簡略化したものです。

アクセス：便利な立地

大阪別院は、JR大阪環状線 桃谷駅から徒歩約3分というアクセス抜群の場所に位置しています。観光や参拝の際に、気軽に立ち寄ることができる立地も魅力の一つです。

まとめ：歴史と信仰、そして地域に根付く寺院

豊川稲荷大阪別院は、明治時代からの歴史を持ち、商売繁盛の神として多くの人々に信仰されてきた寺院です。本殿や奥の院、そして古代寺院跡など、見どころも満載です。アクセスも便利なので、大阪を訪れた際にはぜひ訪れて、歴史と信仰に触れてみてください。

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