豊橋鉄道モハ500形電車

豊橋鉄道モハ500形電車

豊橋鉄道モハ500形電車は、1957年に名古屋市交通局から移管された路面電車である。木造の老朽化した車両を改造した半鋼製の単車で、その歴史や特徴は興味深いものである。

導入の背景

1957年9月12日、豊橋鉄道が名古屋市から譲り受けたモハ500形は、当初16両の計画で導入された。これにより、名古屋市電から豊橋への移行が進み、市内線用の新たなスタンダードとなった。名古屋での運用実績があるため、導入当初から安定した性能が期待されていた。このモハ500形は、1935年から1939年に製造されたものであり、外観に若干の違いがあった。名古屋市内での使用が続いていたが、老朽化した木造単車の後継車両としての役割を果たした。

豊橋では501から516という車両番号が付けられ、その内訳は前期型と後期型で分かれていた。前期型は戸袋窓がなく、後期型は側面窓の高さが異なるという特徴があった。豊橋における使用に伴い、これらの車両は市内線のメインとなり、多数の利用者に支持された。

改造の内容

モハ500形は、導入後さまざまな改造が施された。特に、戸袋窓がなかった前期型の4両には後期型と同様の戸袋窓を取り付けた。また、車両の前面においても、方向幕窓の支持方式が変更され、よりモダンな外観が実現された。特に注目すべきは、ワンマン運転への対応改造だ。この改造により、505から506の3両は柳生橋支線専用となり、バックミラーや運賃箱などが新設された。この対応により、ワンマン運転がスムーズに開始され、多くの通勤客に利用されるようになった。

廃車の過程

モハ500形の運命は1968年に決定的なものとなった。柳生橋支線専用車両に改造された504から506の3両は1960年に運用を開始し、同年に新たに導入されたモハ700形やモハ800形に影響を受けて、514から516の3両が廃車となった。また、車両番号の変更も行われ、運用体制が大きく変わった。廃車された501から503, 506から508の5両は、比較的良好な状態を保ち、通学輸送専用車両として使われ続けたが、最終的には1968年にすべての車両が廃車となる道を辿った。

主要諸元

モハ500形の廃車時の主要な諸元を以下に示す。

• - 製造者：名古屋市電気局西町工場
• - 定員：50人（座席定員16人）
• - 自重：8.30トン
• - 最大寸法：長さ8,475mm、幅2,337mm、高さ3,684mm（Zパンタ装備の504-506は3818mm）
• - 台車：ブリル21E（車輪径810mm）
• - 軸距：2,286mm
• - 電動機：GE-249A（35馬力）2基
• - 歯車比：4.60

豊橋鉄道モハ500形電車は、豊橋市の交通史において重要な役割を果たした存在であり、その導入から廃車までのプロセスは、地域の交通事情を考える上で欠かせない要素となっている。

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