豊橋鉄道モ3100形電車

豊橋鉄道モ3100形電車の歴史

豊橋鉄道モ3100形電車は、かつて東田本線で運行されていた路面電車です。この車両は名古屋市交通局の1400形電車を1971年に譲り受け、豊橋鉄道に導入されたことから始まります。

名古屋市電での活躍

モ3100形の前身である1400形電車は、1936年から名古屋市交通局によって製造されました。この電車は、1937年の名古屋汎太平洋平和博覧会に向けて、観客輸送を目的に設計されたもので、「博覧会に相応しい世界一の電車」を標榜していました。全体に軽量化に配慮された設計が採用され、多くの新しい技術が導入されたため、利用者からも高い評価を得ました。1942年までに75両が製造され、名古屋市電の主力車両として活躍しました。1974年には名古屋市電が全廃されるまで、ワンマン運転に対応した車両もありました。

1971年に名古屋市電から廃車となった数両が豊橋鉄道に譲渡され、これが後のモ3100形電車として転用されました。

豊橋鉄道への移籍

1971年の6月2日、豊橋鉄道に新たに導入されたモ3100形型車両は、名古屋市電の1465-1471、1473、1474の計9両で構成されていました。名古屋市電の最終増備グループに属するこれらの車両は、豊橋鉄道において3101-3109という番号が付与されました。入線に際しては必要な改造が行われ、新しい塗装が施されました。

入線当初、これらの車両はワンマン運転に対応していたものの、豊橋鉄道のワンマン運転が開始されたのは1971年8月28日からでした。モ3100形はその後、ワンマンカーとしての役割を果たしました。

改造と運用

豊橋鉄道に導入された後も、ワイパーの自動化や集電装置の改良など、様々な改造が実施されました。1986年からは全車両のワンマン表示板が広告に差し替えられ、1989年にはモ3101が全面広告車として登場しました。

さらに1990年には初の冷房車としてモ3105と3106が運転を開始し、室内の内装も一新されました。冷房化は、その後も順次進められ、1993年にはモ3101と3107も冷房車として運行を開始しました。

しかし冷房化されなかったモ3109は1990年に初めて廃車となり、その後モ3108も1993年に廃車されました。残りのモ3101-3107も、名古屋鉄道からのモ780形に置き換えられることとなります。

イベント用車両の運用

モ3102はイベント専用車両として残され、老朽化が進む中、時折営業運転にも入ったりしました。2011年には営業運用を離脱し、その後も一時的に留置されたりしましたが、最終的には2017年に廃車が決定し、2018年2月には解体されました。

広告塗装

モ3100形は、多様な広告塗装も施されており、モ3101には豊橋丸栄の広告、モ3105にはメガワールドなどが展開されていました。これらの塗装デザインは、後に導入されたモ780形にも引き継がれました。

豊橋鉄道モ3100形電車は、その長い歴史と深いなれ親しんだ存在として、豊橋市内の交通に多大な影響を与えました。 様々な改造を経て、地域に根付いた存在として多くの愛好者に支持され続けました。

もう一度検索