豊橋電気軌道1形電車

豊橋電気軌道1形電車

豊橋電気軌道1形電車は、豊橋市内で運行されていた路面電車の一種類で、1925年に運用を開始し、1957年までの長い間、愛されていました。この電車は、当時の豊橋電気軌道が製造したものであり、豊橋鉄道の前身にあたります。

開業と初期の人気

豊橋電気軌道1形電車は、1925年に初めて運行が開始されました。それに合わせて、豊橋市内の東田本線が新たに開業し、最初に6両（車両番号は1から6まで）が日本車輌製造により製造され、7月14日から運行が始まりました。翌年の1926年5月には、さらに4両（車両番号は7から10まで）が追加され、合計10両の fleetを形成しました。

この電車は木造の車体を持ち、低床単車であるため、乗降が容易でした。その特徴的な外観から、市民からは「スマートでデラックスな姿」として高く評価され、開業前の報道では「トテも乗心地の好い電車」と称されるほどでした。これは、当時の他の地域の路面電車と比較しても豪華なデザインに見えたため、大変な人気を誇りました。

戦争の影響と復興

しかし、太平洋戦争の影響を受け、1945年に起きた豊橋空襲によって、電線道に深刻なダメージが発生しましたが、幸いにも1形電車は全車焼失することはありませんでした。戦後、被害を受けた路線の復旧と並行して、1946年6月からは車両の修繕工事が実施されました。この修繕によって、1形電車は改良が行われ、車体の締め直しや外観の変更がなされました。

最初のマルーン一色から、明るい青に塗り替えられ、最終的には緑と黄のツートーンに変わったことも、当時の市民の目を引くポイントでした。また、1949年には、新しい型式のモハ200形中古車両が運行を開始したものの、1形電車は市内での運行を続け、その後、1953年に番号の変更が行われました。

引退と廃車

1954年には社名が豊橋鉄道に変更され、続いて車両の集電装置の更新が行われました。これにより集電装置はトロリーポールからビューゲルへと変更されました。しかし、木造の車体は老朽化が進んでいたため、1957年12月1日に全車が廃車となりました。この時、名古屋市電から新しい車両が導入されたことも、1形電車の最後を飾る要因となりました。

主要諸元

豊橋電気軌道1形電車の廃車時点での主要な諸元は次の通りです。

• - 製造者: 日本車輌製造
• - 定員: 40人（座席定員 20人）
• - 自重: 9.14トン
• - 最大寸法: 長さ7,924mm、幅2,080mm、高さ3,426mm
• - 台車: 日本車輌製造製 ブリル21-E系（低床台車、車輪径660mm）
• - 軸距: 1,980mm
• - 電動機: MB-74-L（30馬力） 2個
• - 歯車比: 4.46
• - 駆動方式: 吊り掛け駆動方式

このように、豊橋電気軌道1形電車は地域の交通発展に寄与し、多くの市民に愛された名車であったと言えるでしょう。

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