豊竹麓太夫

豊竹麓太夫（とよたけ ふもとたゆう）の系譜と伝統

豊竹麓太夫は、江戸中期から後期にかけて義太夫節の太夫として特に知られています。彼の魅力はその独特な語り口調にあり、初代から4代目までの家系は、義太夫の発展において重要な役割を果たしてきました。ここでは、各代の太夫の特徴や功績について詳しく見ていきます。

初代豊竹麓太夫

初代豊竹麓太夫（享保15年（1730年） - 文政5年5月6日（1822年6月24日））は、大坂ざこばに生まれました。彼は素人浄瑠璃からのスタートで、通称「鍋屋宗左衛門」として名を馳せました。その後、初代豊竹駒太夫の門下に入り、1757年に豊竹座で初めて舞台に立ちました。公式な記録では1817年まで活躍していたことから、非常に長命であったことが分かります。

彼の代表的な語り口は「麓太夫風」と呼ばれ、幅広い演目に対応する柔軟さが特徴でした。中でも「絵本太功記・尼ケ崎の段」、「蝶花形名歌島台・小坂部館の段」、「八陣守護城・正清本城の段」などが有名で、観客に深い感動を与える演技力で知られました。

2代目豊竹麓太夫

2代目豊竹麓太夫（明和3年（1766年） - 天保9年4月4日（1838年4月27日））は、大坂生まれで、初代麓太夫の教えを継承しました。彼は3代目豊竹八重太夫の養子であり、後に豊竹佐渡太夫を受け継ぎました。1830年には2代目麓太夫を襲名し、御霊芝居の櫓下で活躍しました。

通称「九郎兵衛湊」や「松阪屋猪八郎」として親しまれ、彼の演技は初代に遺伝するスタイルを保ちつつも、新たなアプローチを模索していました。観客に対する深い理解と、舞台上での自由自在な表現力が彼の演技になくてはならない要素であったと言えます。

3代目豊竹麓太夫

さらに、3代目豊竹麓太夫（寛政6年（1794年） - 安政6年1月16日（1859年2月18日））は、大坂生まれであり、4代目豊竹八重太夫や3代目竹本長門太夫に師事しました。彼は豊竹小町太夫や粂太夫、さらには2代目豊竹橘太夫を経て5代目八重太夫を襲名し、1858年には3代目麓太夫を引き継ぎました。

その後、櫓下での活動を通じて、彼独自のスタイルを確立しました。彼の演技は、初代や2代目の技術を融合させつつ、新たな要素を取り入れていくことで更なる魅力を増していきました。

4代目豊竹麓太夫

4代目豊竹麓太夫については、生没年が不詳のため詳しいことはわかりませんが、先代たちの流れを受け継ぎ、義太夫に影響を与えた存在であったことは間違いありません。彼の活動がどのように続いていったのか、今も多くの人々が関心を寄せています。

• ---

豊竹麓太夫家の系譜は、義太夫節における重要な文化的財産です。各代の太夫たちの努力と情熱によって、義太夫の伝統が今に至るまで継承されています。彼らの功績を知ることは、日本の伝統芸能を理解する上でも非常に重要です。

もう一度検索