貞治の変

貞治の変

貞治の変（じょうじのへん）は、室町時代初期の1366年に発生した、重要な政変を指します。この事件は、日本の南北朝時代後期に当たり、室町幕府の執事であった斯波義将と、その父である斯波高経が失脚した出来事として知られています。この政変は「貞治の政変」とも称され、当時の権力構造に大きな影響を与えました。

背景

貞治の変の前触れは、1361年に発生した康安の政変です。この事件により、執事の細川清氏が失脚し、南朝に降伏したことで、斯波高経は将軍足利義詮から信任を得ることに成功しました。最初、高経は4人の息子の中から義将を執事に推薦し、力を強めていきました。その後も彼は家族を高位の役職に就け、幕府の中枢を支配しようと試みました。

しかし、彼の権力拡大には反発も強く、特に有力守護の佐々木道誉は高経に恨みを抱き、反対勢力を結成しました。道誉は高経の影響力に対抗するために様々な策を講じましたが、双方の対立は激化する一方でした。高経の力を削ぐ動きが続き、状況は緊迫していきました。

事件の概要

貞治5年の8月、将軍足利義詮は斯波高経に対して急に下向を命じ、従わなければ治罰すると脅迫します。高経は自身の運命を悟り、家を焼き払い、子息たちと共に逃げざるを得ませんでした。高経が追放された理由として、興福寺の衆徒が高経の部下による権利侵害を訴えたことが挙げられますが、実際には他の有力勢力の不満が背景にあったと思われます。

高経が逃げると、幕府は彼に対抗する軍隊を編成し、彼が籠もっていた城を包囲しました。多くの守護や有力者は、彼の地位が失われたことによって、足利義詮の権力が一層強まるのを見越して動き出しました。最終的に高経は城内で病に倒れ、彼の没落とともに斯波氏も衰退していきました。

変の影響

斯波高経の失脚後、足利義詮はその領地を没収し、幕府の管理下に置くことで、権力を確立しました。この動きは、公家や寺社からの信頼を恢復することに成功し、幕府の安定に寄与しました。以降、北朝の権力が確立し、南北朝の動乱は収束に向かいました。

この政変に伴い、斯波義将も許されて上洛し、政権が一層強固になる様子が見受けられました。しかし、足利義詮は後に急死し、彼の治世を支える体制が整いますが、その後も内乱は続きました。

貞治の変は、幕府体制の刷新と権力の変遷を象徴する出来事であり、次の時代の動向にも大きな影響を与えました。義満による政変は、この貞治の変によってもたらされた教訓を元に、新たな権力の確立を模索するものであったと言えるでしょう。

このように、貞治の変は単なる個人の失脚にとどまらず、室町幕府自体の運命にも大きな影響を及ぼした重要な出来事であるのです。

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