貞観永宝

貞観永宝についての詳細

概要

貞観永宝（じょうがんえいほう）は、870年に日本で鋳造された銭貨です。この貨種は皇朝十二銭の中で9番目に分類され、平安時代の象徴的な貨物の一つとされています。

始鋳と特徴

独立行政法人造幣局の記録によれば、貞観永宝の鋳造は貞観12年、すなわち870年に始まりました。材質は主に銅で、重さは約2.33g、直径は17.4から19.8mm、銅分の含有量は52.84%とされています。しかし、皇朝十二銭の中でも特に平安遷都後の9つの貨種に関しては、質の低下が見られ、結果として文字が不鮮明になる傾向がありました。

『日本三代実録』によると、貞観永宝は清和天皇の治世下において、貞観12年の1月25日に発行されました。その発行の背景には、既存の旧貨が流通によって劣化している問題がありました。特に、旧貨が摩耗して軽重や大きさにばらつきが生じ、貿易や取引に支障をきたしていたのです。これを解決するために、旧貨を一掃し、新たに鋳造された貞観永宝が流通されることとなったのです。

流通施策

貞観永宝の流通にあたっては、政府が積極的な施策を打ち出しました。例えば、備中や備後といった地域から銅を調達するための努力が行われ、新たに鋳銭所が設けられました。また、原料となる銅を確保するために、旧貨を積極的に回収する運動も見られました。これにより、長門においては全ての産銅が鋳銭司に送られる取り決めがなされていました。

しかし、貞観17年頃には、農民たちが勝手に産出された銅を用いて雑器を制作し、商売を行っていたため、銅材が不足する事態が発生しました。これを受け、政府は禁令を出し、無秩序な銅の流通を防ぐ方針を定めました。

質の低下

貞観永宝の外観は小型化し、銅の品質も約半分に低下しました。鉛が35%程度含まれていたことから、その品質に懸念がありました。文字が破損し、形状が完全なものはなくなり、流通する上での信用を損なう要因となったとされています。

また、『日本三代実録』の記録によると、貞観14年には鋳銭の管理を担当していた者が官吏によって譴責を受けた事例もあり、このことは銭の鋳造や流通に対する管理がいかに難しいかを物語っています。

総括

貞観永宝は日本の歴史において重要な貨物であり、その鋳造の背景や流通施策、さらには品質の変動についての理解は、当時の経済環境を知る手がかりとなります。これを通じて、平安時代の貨幣経済の実態や政府の対応を見つめ直すことが可能となるでしょう。

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