負芻

負芻の生涯と楚の滅亡

負芻（ふすう、生没年不詳）は、中国戦国時代における楚の最後の王であり、在位は紀元前228年から229年までの非常に短いものでした。彼の父は考烈王（名は『史記』の「楚世家」では元、また「春申君伝」では完と記されています）で、彼の母は広生で、彼は庶子として生まれました。彼の姓は羋、氏は熊で、哀王の庶兄という立場でした。

政治的背景と即位

幽王10年（紀元前228年）、国内で負芻を支持する勢力が王宮を襲撃し、哀王を殺害するという事件が起こりました。この事件によって、負芻は楚の王位に就くことになりますが、この時の楚の国はかつての強大な面影を失い、政治的に混乱していました。負芻は君主としてのリーダーシップが欠けており、この時代の楚は既に他国との争いにおいて劣位に立たされていました。

戦争と敗北

負芻が王となってから4年後、紀元前224年には楚の大将軍である項燕（後に著名な項羽の祖父）率いる軍が秦の老将軍である王翦との戦闘で敗北しました。この戦闘は楚の軍にとって非常に痛手であり、その結果、国力の低下に拍車がかかりました。負芻は新たに即位した後も、彼自身の立場を強化することはできず、国の運命は徐々に暗い方向へと向かっていきました。

さらにその1年後、紀元前223年には、王翦と蒙武が再び楚に対する攻撃を行いました。この戦争では負芻が捕虜となる結果となりました。彼の捕虜後、楚の状況はさらに悪化しました。項燕は負芻の後に公子の昌平君を擁立し、秦に抵抗する試みをしましたが、これもまた王翦による攻撃を受けて失敗し、項燕と昌平君は両者ともに戦死しました。

結末と楚の滅亡

このように、紀元前223年の攻撃によって、春秋時代から続いてきた楚の歴史はついに幕を閉じることとなります。負芻の短い在位は、楚にとって悲劇的なエピソードであり、彼が即位した時点で早くも国の衰退の始まりが示されていたのです。負芻はその後どのような運命を辿ったかは明らかではありませんが、彼が統治していた期間は楚の歴史における重要な転換点となりました。

負芻は時代の波に押し流され、敢え無くどうしようもない状況に置かれた一国の王として記憶されることになりました。

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