貢女

貢女制度とその歴史的背景

貢女（朝: 공녀、英: tribute women）は、歴史を通じて朝鮮半島から中国に献上された女性たちを指します。この制度は、女性を貢物として提供することにより、外交関係を顕示する一形態として機能していました。特に、高麗時代から李氏朝鮮時代にかけて、この制度は顕著でした。しかし、貢女として献上された女性たちは、その後、帰国しても社会的に蔑視されることが多く、さらなる苦境に立たされました。このような女性たちを示す言葉が、今でも朝鮮語で「低俗な女性」を意味するファニャンニョン（화냥년）として使われているのは、その悲劇的な歴史の反映です。

高麗時代における貢女の歴史

貢女制度が最も盛んだったのは、主に高麗後期から李氏朝鮮時代にあたります。高麗時代、中国の元や明、契丹などに対して、女性たちを貢ぎ物として献上することが特に多く行われていました。史書『高麗史』によると、貢女を供給するために特別な官庁が設けられ、国内の結婚を禁止する措置が取られていました。例えば、結婚都監という役所が設置され、140人の貢女を確保するための努力がなされたこともありました。また、貢女にされた女性たちの中には、帰国後も肩身の狭い思いをする者が少なくなく、李穀（1298年-1351年）は元の皇帝に対し、この問題を訴えました。

しかし、1332年には忠粛王が元との関係が悪化する中、貢女制度を廃止する意向を表明しました。

李氏朝鮮時代の状況

李氏朝鮮時代になると、貢女として中国に送られる女性は数えきれないほどに達します。当時、中国本土からの使臣が朝鮮に派遣され、貢女の選抜が行われました。その際、民衆は抵抗することもあり、特に娘を持つ家庭は恐怖に震えました。多くの家庭では、自分の娘が選ばれないように顔に傷をつける、あるいは隠したりするなどの対策を講じました。そのため、李氏朝鮮時代には「12歳以下の女子については婚姻を禁ずる」という法令も発せられました。

また、太宗時代には、貢女選抜を避けるために様々な方法が用いられました。処女たちは障害があるように装ったり、さらには国家からの罰も恐れて密かに対策を講じるなどして必死に逃れようとしていました。

貢女制度の影響と後遺症

朝貢制度は高句麗や新羅から始まり、高麗時代から李氏朝鮮時代にかけて盛んに行われていました。このような事大主義外交は、明・清代に引き継がれ、さらには日清戦争まで影響を与えました。特に太宗とその子世宗の時代は、貢女の数が非常に多かった時期でもありました。

しかし、清からの完全な独立を果たした後も、このような制度は形を変えて続くことになります。人身売買の犠牲者は後を絶たず、警察に逮捕される朝鮮人の数は日本人の100倍に及んだとも言われています。これらの女性たちは、貢女としての過去が原因で、社会からの偏見や差別を受け続けることとなりました。

総括

貢女制度は、朝鮮半島の歴史における悲劇的な側面を映し出しており、女性たちの苦しみを後世に伝えています。彼女たちの犠牲により、歴史は繰り返されてはいけないことを示唆しています。

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