貨物フォワーダー

フォワーダーとは

フォワーダー（Forwarder）または貨物フォワーダー（Freight forwarder）は、貨物利用運送事業者とも呼ばれ、荷主から貨物を預かり、船舶、航空機、鉄道、トラックなどの様々な輸送手段を組み合わせて、貨物を目的地まで運ぶ事業者のことです。フォワーダー自身は直接的な輸送手段を持たず、他の輸送業者を利用するのが特徴です。

主な役割

フォワーダーは、荷主のニーズに合わせて最適な輸送ルートや手段を選定し、運送契約の締結や貨物の追跡管理、通関手続きなど、輸送に関する様々な業務を代行します。国際輸送においては、複雑な手続きや規制に対応する必要があるため、フォワーダーの専門知識やネットワークが重要になります。

種類

一般的に、貨物利用運送事業者のうち、国際輸送を専門とする業者をフォワーダーと呼ぶことが多いです。特に、航空輸送を得意とする業者をエア・フレイト・フォワーダー（航空貨物混載事業者）、海上輸送を得意とする業者をNVOCC（Non-Vessel Operating Common Carrier、非船舶運航業者）と呼ぶこともあります。

世界のフォワーダー

業界団体

フォワーダー業界には、世界的な業界団体として世界フォワーダー協会（FIATA）があります。また、各国にも様々な業界団体が存在し、日本では一般社団法人国際フレイトフォワーダーズ協会（JIFFA）や一般社団法人航空貨物運送協会（JAFA）などが活動しています。

主要なフォワーダー

世界には多くのフォワーダーが存在しますが、特に規模の大きい企業として以下のようなものがあります。

DHL：航空輸送に強みを持つドイツの企業で、海上輸送も大規模に展開しています。
キューネ・アンド・ナーゲル：スイスに本社を置く企業で、世界100カ国以上で海上・航空輸送を中心としたロジスティクスサービスを提供しています。
DSV：デンマークに本社を置く、陸海空のロジスティクスサービスを提供するグローバル企業です。
DBシェンカー：ドイツの企業で、陸運・海運にも事業を拡大し、ヨーロッパ最大級の物流会社となっています。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国（米国）では、貨物の輸送に際して、連邦海事委員会（Federal Maritime Commission）からOcean transportation intermediaryのライセンスを取得する必要があります。このライセンスには、海上貨物フォワーダー（ocean freight forwarder）とNVOCCの2種類があります。

ocean freight forwarderは、米国内から貨物を発送する際に、一般運送業者を通じて貨物を輸送する手配をしたり、貨物スペースの予約を代行する事業者です。また、貨物関連の書類作成や事務処理も行います。

一方、NVOCCは、自社で船舶を運航しないものの、海上輸送を提供するために船荷証券を発行する事業者や、船舶運航の一般運送業者と関係のある荷送人を指します。

中国のフォワーダー

中国では、中国国際貨運代理協会（China Freight Forwarding Association, CIFA）が、フォワーダーの売上高ランキングを公表しています。

日本のフォワーダー

日本では、フォワーダーは貨物利用運送事業法に基づいた貨物利用運送事業者として事業を行っています。

荷主は、貨物の種類や目的に応じて最適な輸送手段を選ぶため、多くのフォワーダーは海上輸送と航空輸送の両方を扱っています。日系のフォワーダーだけでなく、海外大手フォワーダーの日本支店も利用可能です。

海運フォワーダー

海運フォワーダーは、船会社の代理店業務から発展し、現在では多岐にわたる業務を行っています。大手企業としては、日本通運や近鉄エクスプレスなどがあります。

航空フォワーダー

航空フォワーダーは、利用航空運送事業者（CONSOLIDATOR）や航空貨物混載業者とも呼ばれます。航空会社の貨物代理店業務をルーツとし、複数の荷主から集めた貨物をまとめて航空会社と輸送契約を結ぶことで、スケールメリットを活かした輸送運賃を実現しています。また、貨物の実重量と容積重量を組み合わせることで、混載差益を発生させることもあります。近年では、通関業務、集配送業務、倉庫業務なども手がけるフォワーダーが増えています。

主な日系企業としては、日本通運（日通航空）、近鉄エクスプレス、郵船ロジスティクスなどが挙げられ、業界シェアの約50%を占めています。

鉄道フォワーダー

鉄道輸送を専門とするフォワーダーも存在します。

まとめ

フォワーダーは、国際物流において重要な役割を担っています。荷主は、自社のニーズに合ったフォワーダーを選ぶことで、効率的かつスムーズな輸送を実現することができます。国内外に多くのフォワーダーが存在するため、それぞれの特徴を理解し、最適なパートナーを選ぶことが重要です。