貴ノ山英二

貴ノ山 英二

概要

北海道根室市出身の元大相撲力士、貴ノ山英二（たかのやま えいじ）。本名を田村 英二といい、昭和期に二子山部屋に所属した。現役時代の最高位は西十両11枚目。身長181cm、体重95kgという体格で、左四つからの上手投げを得意とした。

来歴

1951年6月1日に北海道で生まれた田村少年は、幼少期には野球に親しみ、一塁手としてチームの主軸である5番打者を務めた。また、陸上競技の砲丸投げでも優秀な成績を残している。相撲との関わりは、根室市立柏陵中学校三年生の頃に出場した根室市内の相撲大会での優勝が契機となった。その活躍に目を留めたのは、二子山部屋関係者の知人であった。入門を勧められたが、当時の本人は相撲にそれほど強い興味を持っておらず、一度は誘いを避けていたという。しかし、中学校卒業が近づくにつれ、東京見物という軽い気持ちから角界入りを決意。上京して名門二子山部屋の門を叩いた。

初土俵は1966年9月場所、15歳の時だった。地道な稽古を積み重ね、番付を上げていく中で、1967年5月場所には序二段で優勝を飾るなど実力をつけた。入門から約6年が経過した1972年9月場所で、21歳にして念願の新十両昇進を果たし、西十両11枚目の地位に就いた。しかし、この十両の土俵では苦戦を強いられ、3勝12敗と大きく負け越してしまう。自身の持ち味である左四つ右上手からの上手投げに固執する取り口は、幕下では通用しても十両のレベルでは対応されやすく、相手に十分研究されていたと推測される。この結果、十両での在位はわずか1場所で終わってしまった。

関取の地位を失った後も、貴ノ山は腐ることなく土俵に上がり続けた。主に幕下や三段目の番付で相撲を取り、再十両を目指したが、再び関取の座に返り咲くことはなかった。それでも約15年という比較的長い期間現役を続け、1981年1月場所を最後に、29歳で力士生活に終止符を打ち、廃業した。

成績

貴ノ山の通算成績は87場所で314勝293敗3休、勝率は.517であった。一方、唯一の十両場所での成績は3勝12敗であり、勝率は.200に留まっている。現役在位場所数は87場所、十両在位場所数は1場所である。各段優勝は前述の通り、1967年5月場所での序二段優勝の1回を記録している。

改名歴

貴ノ山英二は現役中に本名の「田村 英二」と四股名の「貴ノ山 英二」を複数回使用した。その変遷は以下の通りである。
1966年9月場所 - 1971年1月場所：田村 英二（たむら えいじ）
1971年3月場所 - 1973年7月場所：貴ノ山 英二（たかのやま えいじ）
1973年9月場所 - 1974年3月場所：田村 英二（たむら えいじ）
1974年5月場所 - 1980年5月場所：貴ノ山 英二（たかのやま えいじ）
* 1980年7月場所 - 1981年1月場所：田村 英二（たむら えいじ）
特に、十両昇進時には「貴ノ山」を名乗り、廃業時も本名の「田村」に戻している。

参考文献・出典

この記述は主に、『大相撲力士名鑑平成13年版』（水野尚文、京須利敏、共同通信社、2000年）などの資料に基づいている。また、大相撲力士一覧などの関連事項が存在する。

もう一度検索