資金源強奪

映画『資金源強奪』の概要

1975年6月21日に公開された『資金源強奪』は、北大路欣也が主演を務め、深作欣二が監督を担当した日本のアクション映画です。この作品は、北大路にとって1965年の『徳川家康』以来、10年ぶりとなる主演映画となりました。物語は、悪党たちが大金を巡っての駆け引きを繰り広げる様子をコミカルに描写しています。

映画では、北大路が演じるクールな主人公と彼の相棒の川谷拓三、室田日出男が主役としての役割を果たしています。北大路自らが「この映画は拓三さんの出世作」と語るほど、友情と絆が感じられる作品です。また、梅宮辰夫が演じる停職中の刑事、北大路の情婦役には久しぶりの東映映画出演となる太地喜和子が起用されており、この二人の濃厚な濡れ場が話題となりました。松方弘樹と山城新伍もカメオ出演しており、賑やかさを増しています。

ストーリー

物語は、敵対する暴力団の組長を射殺し、8年間の刑務所生活を送っていた清元武司の復讐劇から始まります。獄中で清元は、自らが属する羽田組から大金を奪う計画を立て、出所後に以前の仲間である別所鉄也と小出熊吉と共に組が運営する賭場を襲撃し、3億5千万円を手に入れます。しかし、羽田組は停職中の悪徳刑事・能代文明を雇い、犯人を追跡しようとします。かくして、清元は危険な賭けに出ることになります。

スタッフとキャスト

映画の制作には、企画に日下部五朗と杉本直幸が関与し、脚本は高田宏治によって執筆されました。撮影には赤塚滋、音楽は津島利章が担当し、各部門で多くの才能が集結しました。

主要キャストには、清元武司役の北大路欣也、情婦の一宮静子役を演じた太地喜和子、相棒の小出熊吉役の室田日出男、豪快な刑事の別所鉄也を演じる川谷拓三などが含まれています。特に、梅宮辰夫の演じる能代文明は、ストーリーに大きな影響を与える重要なキャラクターです。

企画と製作経緯

岡田茂東映社長が提案した企画のもと、設定やタイトルが決定されました。高田宏治は、取材を通じてヤクザの世界における資金源を強奪するテーマに興味を抱き、脚本を執筆しました。公開前には、渡哲也が主演する予定でしたが、健康問題から北大路が代役を務めることになりました。この種の変更は、映画業界では珍しいことではありません。

撮影中のトラブル

深作欣二監督は映画のクレジット表記に関して、東映の本社との摩擦を受けました。表記が平仮名になった背景には、映画のテーマが反社交的とされることへの懸念や、過密スケジュールと低予算への抗議、さらには深作の本心が影響していると言われています。本人は試写で面白いと評価されたにもかかわらず、制作側の動きに対して批判的だったと伝えられています。

映画の評価

公開された当時の記事では、銀行強盗や現金輸送車襲撃が数多く制作されている中で、暴力団の資金源を狙うこの作品が新たな試みだとされました。しかし、映画の興行成績は振るわず、北大路もその低評価に対し言及しています。観客の反応には賛否があり、作品が伝えるテーマの影響もありました。

全体として『資金源強奪』は、時代を反映したエンターテインメント作品として、観客に様々な感情を呼び起こしてきたことがうかがえます。

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