賭場

賭博場：歴史、文化、そして法律

賭博場とは、賭博行為が行われる場所です。古くは「盆中」「盆」「場」「敷」「鉄火場」などと呼ばれ、その歴史は古く、日本においては古来より存在してきました。常設の賭博場を「常盆」、一定期間だけ営業するものを「約盆」、臨時で開かれるものを「花会」「内会」「手合博奕」「手配博奕」、郊外で行われるものを「遠出」、葬儀後に開かれるものを「慰み」と呼んでいました。大規模な賭博場は「大会」や「大博」と呼ばれていました。

賭博場の規模は様々で、小さな集まりから、数百人を収容できる大規模なものまで存在しました。2010年には大阪市西成区で300人を収容できる巨大な賭博場「福助」が摘発されています。これはマンション3棟を繋げたもので、「ドーム」とも呼ばれていました。競輪や競艇のノミ行為を行う場として発展し、最盛期には300人以上の参加者で賑わっていたと言われています。

賭博場の設営にも独特の工夫が見られました。丁半博打などでは、縁のない畳を白布で覆い、鋲で固定した「坊主」と呼ばれる盆茣蓙が用いられました。標準サイズは2畳半で、周囲に座布団を敷き、灰皿を置くのが一般的でした。親の席には屏風を立てたり、電球に紙を巻いてスポットライトを作ったりするなど、趣向を凝らした装飾が施されることもありました。

賭博場では、飲食物の提供も行われることもありましたが、イワシ、サンマ、サバなどの青魚や鶏肉、ネギを使った料理は忌避されていました。売り上げの配分は様々でしたが、暴力団が関与した事例では、場所提供者に40%、幹部クラスに30%、組長に30%という配分が行われていたケースもありました。

歴史的に、日本では賭博は禁止されてきたため、賭博場は常に官憲の監視の対象でした。そのため、寺院や公家の屋敷など、官憲の力が及ばない場所が賭博場として利用されることもありました。現代においても、外国公館が同様の目的で利用されることがあると言われています。賭博場開帳は刑法第186条第2項の賭博場開張等図利罪に該当し、違法行為です。

賭博場には独特の文化や慣習も存在しました。例えば、丁半博打では、丁の目が出た直後に賭博場に入場するのが礼儀とされ、半の目の直後に入場することは忌避されました。また、「鉄火巻」という海苔巻きは、かつて鉄火場（賭博場）で手軽に食べられる食事として人気があったと言われています。

1950年には、関東鉄道常総線の貨車を占拠して移動賭博場を開設し、ヤミ米ブローカーらが検挙された事例もあります。これらの事例は、賭博場が社会問題と深く関わってきたことを示しています。賭博場を取り巻く状況は、歴史、文化、そして法律の複雑な絡み合いの中で形成されてきました。

近年、カジノを含む統合型リゾートの整備が進められていますが、その背景には、国際観光産業の振興や経済活性化といった思惑があります。しかし、カジノの合法化は、新たな社会問題を引き起こす可能性も指摘されています。賭博場と関連する反社会的勢力の存在も無視できません。これらの問題を踏まえ、健全なギャンブル環境の構築が重要な課題となっています。

賭博場に関する様々な事象は、日本の歴史、社会、文化、そして法制度を理解する上で重要な要素であり、これからも継続的な議論と考察が求められます。

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