賈至

賈至（かし）

賈至（718年 - 772年）は、中国唐代の詩人であり、字は幼幾（ようき）または幼隣（ようりん）と伝えられています。彼は洛陽の出身で、家系は三国時代の魏の太尉であった賈詡に遡るとされています。

生涯

賈至は、賈曾の子として生まれました。開元23年（735年）に進士に及第し、天宝10載（751年）には明経にも及第しました。その後、起居舎人・知制誥といった官職を歴任し、朝廷で重要な役割を果たしました。

安禄山の乱が発生すると、賈至は玄宗皇帝に従って蜀へ避難しました。この際、彼は皇太子への帝位譲渡の勅語を起草するという重要な任務を担いました。しかし、後に罪に問われ、岳州へ流されることになります。岳州では、かの有名な詩人・李白と出会い、共に酒を酌み交わす日々を送ったと伝えられています。

その後、都に召還され、大暦5年（770年）には京兆尹兼御史大夫に任じられました。最終的には右散騎常侍という高い地位にまで昇りつめました。

詩人としての賈至

賈至は、詩人としても才能を発揮し、作品を残しています。彼の詩の中でも特に有名なのは、『西亭春望（せいていしゅんぼう）』という七言絶句です。この詩は、春の景色を情感豊かに描写しており、多くの人々に愛されています。

『西亭春望』以外にも、彼の作品は当時の社会情勢や自身の心情を反映しており、唐代の文化や歴史を理解する上で貴重な資料となっています。

賈至の詩の影響

賈至の詩は、その後の詩人たちにも影響を与えました。彼の詩は、洗練された技巧と情感豊かな表現が特徴であり、多くの詩人たちが彼の作風を模倣しました。また、彼の詩は、唐代の詩壇において重要な位置を占めており、中国文学史においても高く評価されています。

賈至は、政治家としてだけでなく、詩人としても優れた才能を持っていた人物でした。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた人々の姿を反映しており、彼の作品は、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。

参考文献
* 『唐詩選』（岩波文庫、註解：前野直彬）

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