賜田

賜田について

賜田（しでん）は、古代日本における律令制度の中で、天皇の命令に基づいて個人に与えられた田地のことを指します。この制度は、天皇が特定の人物に対して田地を支給することを可能にし、政治的な影響力を持つ手段としても利用されていました。

賜田条の規定

養老令において明記された田令第12条（賜田条）によれば、賜田は「特別の勅命によって個人に与えられる田地」とされています。この規定により、皇帝の意志を反映した田地の賦与が導入され、特に貴族層に対して支給されることがほとんどでした。このように、賜田は個人への特権を与える手段であり、貴族に対する支配や影響力を強める重要な役割を持っていました。

資源の管理と特権

賜田は、一般的に田租の賦課対象である輸租田（ゆそでん）として扱われ、支給された者は農地からの利益を享受することができました。しかし、賜田を受け取った際には、将来的に官位を解免された場合、賜田も含めた全ての田地が収公されるという厳しい規定がありました。これにより、賜田を巡る権利の保証と管理が強化され、田地の利用が制限されることとなりました。

歴史的なおかげ

奈良時代の最中、高度に耕地化された田地が支給されていたと考えられますが、平安時代に入ると徐々に荒廃地や空閑地が賜与されるケースが増加しました。これは、墾田（新たに開墾された土地）を促進する目的も含まれていました。このように、賜田の運用は時代とともに変化していったのです。

一身田の存在

また、特に注目すべきは、一代限りの相続を認めない一身田という形式の賜田も存在したことです。この一身田は、特定の個人に一度限り与えられ、その後は相続が不可能とされました。三重県津市に現存する「一身田」の地名は、この賜田の名残であると考えられています。

おわりに

賜田制度は日本の古代における土地制度の一部を成し、貴族に対する特典を与える一方で、政治的な手段としても用いられていました。このような制度を理解することは、日本の歴史と土地利用の進展を知る上で、非常に重要な視点となります。関連する制度としては、班田収授法や功田なども存在し、それぞれが独自の役割を果たしていました。

もう一度検索