贖罪の化身

『贖罪の化身』（Redeemer of Souls）とは

ヘヴィメタルの伝説、ジューダス・プリーストが通算17作目のスタジオ・アルバムとして発表したのが、『贖罪の化身』（原題：Redeemer of Souls）です。この作品は、バンドにとってキャリアにおける重要な転換点を示すものとなりました。

制作背景とメンバーチェンジ

前作から実に6年もの歳月を経て届けられた本作は、その制作に3年もの時間を費やして丹念に作り上げられました。注目すべきは、長年にわたりバンドのサウンドを支えてきたギタリスト、K.K.ダウニングの脱退という大きな出来事の後、新たなギタリストとしてリッチー・フォークナーを迎え入れた新体制で制作された最初のアルバムであるという点です。リッチー・フォークナーの加入は、バンドに新鮮な活力を注入し、その後の活動に新たな方向性をもたらしました。

サウンドの特徴

音楽性において、本作は前作までのアプローチとは異なり、彼らのルーツである純粋なヘヴィメタルへと力強く回帰しています。骨太でヘヴィなリフワーク、グレン・ティプトンとリッチー・フォークナーによるツインギターのハーモニーと攻撃的なソロ、そして衰えを知らない“メタル・ゴッド”、ロブ・ハルフォードの圧倒的なハイトーンヴォーカルが随所にフィーチャーされています。メロディと攻撃性が高次元で融合した楽曲群は、ジューダス・プリーストが長年培ってきたサウンドの真髄を現代に蘇らせています。

チャートでの成功

『贖罪の化身』はリリースされるや否や、世界中のチャートで目覚ましい成功を収めました。特にアメリカのビルボード200チャートでは、バンド史上最高位となる6位を記録し、結成以来初となるトップ10入りという歴史的な快挙を達成しました。これは彼らのキャリアにおける長年の努力が実を結んだ証と言えるでしょう。

また、母国イギリスの全英アルバムチャートでも12位にランクインし、アルバム『背徳の掟』（Defenders of the Faith）以来、実に30年ぶりとなるトップ20入りを果たしました。さらに、フィンランドのナショナルチャートでは、バンドとして初めてとなる1位を獲得するなど、国境を越えて多くのファンに熱狂的に迎え入れられた作品となりました。

収録曲

本作に収録されている全ての楽曲は、ヴォーカルのロブ・ハルフォード、ギタリストのグレン・ティプトン、そして新たに加入したリッチー・フォークナーという主要メンバー3名の共作によって生み出されました。通常盤には以下の13曲が収録されています。

ドラゴノート - Dragonaut - 4:26
贖罪の化身 - Redeemer of Souls - 3:58
ヴァルハラの宮殿 - Halls of Valhalla - 6:04
ダモクレスの剣 - Sword of Damocles - 4:54
地獄の行進 - March of the Damned - 3:55
陥落 - Down in Flames - 3:56
地獄からの生還 - Hell & Back - 4:46
冷血 - Cold Blooded - 5:25
メタライザー - Metalizer - 4:37
クロスファイアー - Crossfire - 3:51
亡者の秘密 - Secrets of the Dead - 5:41
進撃の咆哮 - Battle Cry - 5:18
終焉への序章 - Beginning of the End - 5:07

さらに、デラックス・エディションには以下の5曲がボーナストラックとして追加収録されています。

スネイクバイト - Snakebite - 3:14
血の涙 - Tears of Blood - 4:19
クリーチャーズ - Creatures - 3:18
ブリング・イット・オン - Bring It On - 3:18
ネヴァー・フォーゲット - Never Forget - 6:25

参加メンバー

本作のレコーディングに参加したメンバーは以下の通りです。

ロブ・ハルフォード：ボーカル
グレン・ティプトン：リードギター、シンセサイザー
イアン・ヒル：ベース
スコット・トラヴィス：ドラムス
* リッチー・フォークナー：ギター

『贖罪の化身』は、バンドの長年のキャリアにおいて新たな章を開くと同時に、彼らが守り続けてきたヘヴィメタルの魂を鮮烈に証明した作品と言えるでしょう。

もう一度検索