赤い陣羽織

赤い陣羽織

木下順二の戯曲『赤い陣羽織』は、1947年に発表された喜劇作品です。スペインの作家ペドロ・アントニオ・デ・アラルコンの短編小説『三角帽子』を基にしていますが、木下は別に『三角帽子』の戯曲も発表しています。

作品概要

『赤い陣羽織』は、派手な赤い陣羽織を羽織った好色な代官が、権力を背景に百姓の女房に言い寄るというストーリーです。百姓は妻を心配するばかりで、代官は自分の妻には頭が上がらないという、滑稽な構図が描かれています。作者の木下は、ト書きで「自由な装置や扮装や演出が望ましい」として、時代設定にこだわらないことを示しています。

登場人物

お代官: 権力を持つ好色な男で、赤い陣羽織を愛用している。
その奥方: お代官の妻。
お代官の子分: 代官の手下。
お代官の屋敷の門番たち: 声のみの登場。
庄屋さま
おやじ（百姓）: 代官に言い寄られる女房を心配している。
その女房: お代官に言い寄られる。
奥方の腰元: 大勢いる。

物語

物語は、女好きの代官が、百姓の女房に言い寄ることから始まります。代官は権力を振りかざして女房を自分のものにしようとしますが、実は自分の妻には頭が上がりません。一方、百姓は大事な女房を代官に口説かれて心配するばかりで、夫婦のやり取りがコミカルに描かれています。

上演

『赤い陣羽織』は、初演以来、さまざまな劇団によって上演されてきました。

1948年: 劇団文化座が初演。
1955年1月: 歌舞伎座で上演され、歌舞伎の定番レパートリーとなる。
1959年: 横浜市の劇団葡萄座が上演。
1963年: 木下と繋がりのある劇団ぶどうの会が上演。
1967年以後: 小沢昭一らの俳優小劇場も上演。

歌舞伎

歌舞伎では、1955年の歌舞伎座での上演が記録に残っています。この時の配役は、お代官を十七代目中村勘三郎、おやじを八代目松本幸四郎が演じました。その後も、様々な役者によって繰り返し上演され、今日に至るまで歌舞伎の重要な演目の一つとなっています。

1961年: NHK総合テレビで、中村勘三郎、水谷八重子らが出演する舞台中継が放送されました。

オペラ

木下順二原作、大栗裕作曲のオペラ版『赤い陣羽織』は、全3幕で構成されています。1955年に武智鉄二演出により関西歌劇団によって初演されました。木下の民話オペラは「夕鶴」や「きき耳ずきん」などがあり、本作は狂言オペラという新しい形式に挑戦した作品として評価されています。
関西歌劇団では、東京、沖縄公演を含め創立50年までに100回を超える上演を重ねています。

2008年: 「大栗裕の世界」の演目として、いずみホールで上演されました。指揮は円光寺雅彦、演奏は大阪フィルハーモニー交響楽団、オーボエ独奏は浅川和宏が担当しました。

テレビドラマ

『赤い陣羽織』は、2度テレビドラマ化されています。

1957年版: ラジオ東京テレビ（現TBS）『東芝日曜劇場』で放送。中村勘三郎、山[[本安英]]らが出演。
1959年版: 日本テレビ『ヤシカゴールデン劇場』でカラー生放送。日本のテレビドラマ史上初のカラースタジオドラマとして記録されています。久米明、香川京子らが出演しました。

映画

1958年には、歌舞伎座が製作し、松竹が配給する映画版が公開されました。この映画は、十七代目中村勘三郎の映画初出演作であり、カラーの松竹グランドスコープとして製作されました。脚本は高岩肇が担当し、監督は山[[本薩夫]]が務めました。

主なキャスト: 中村勘三郎、香川京子、伊藤雄之助、有馬稲子、三島雅夫など

バレエ

松山バレエ団によってバレエ化もされています。

外部リンク

赤い陣羽織 - allcinema
赤い陣羽織 - IMDb（英語）

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