赤城登山
鉄道株式
会社は、かつて
群馬県勢多郡赤城山において観光開発を行っていた
東武グループの
会社です。設立当初は、
ケーブルカー、リフト、ロープウェイを運営し、
赤城山の観光開発に貢献していました。
運営していた施設
鋼索式鉄道(ケーブルカー): 利平茶屋駅(現桐生市)と赤城山頂駅(現前橋市)を結ぶ路線。
リフト: 赤城大洞と赤城平間を結ぶ路線。
ロープウェイ: 赤城平と地蔵峠間を結ぶ路線。
ケーブルカーは1968年に廃止されましたが、リフトとロープウェイはその後も黒字を維持していました。その後、会社名を赤城山ロープウェイ株式会社に変更しましたが、1979年に東武興業に吸収合併され解散しました。東武興業に継承されたリフトとロープウェイも、1998年3月をもって休止、その後廃止されました。
歴史
1957年6月11日: 東武
鉄道の出資により赤城登山
鉄道株式
会社設立。
1957年7月21日: ケーブルカー(利平茶屋 - 鳥居峠間)が開業。
1957年7月27日: ロープウェイ(赤城平 - 地蔵岳間)が開業。
1967年11月5日: ケーブルカー全線休止。
1968年6月1日:
ケーブルカー全線廃止、社名を
赤城山ロープウェイ株式
会社に改称。
1979年10月1日: 東武興業に吸収合併され、会社解散。
1957年に開通したケーブルカーは、東武鉄道による赤城山観光開発の一環でした。東武鉄道は、前橋 - 赤城大洞 - 赤城山頂 - 桐生間の赤城山回遊ルートの開発を計画しました。
山の東側にある利平茶屋と赤城山頂の間は急峻な地形であり、道路の建設が困難だったため、ケーブルカーでの連絡が計画されました。開業後、東武鉄道は新大間々駅を赤城駅に改称し、浅草駅 - 赤城駅間に直通急行列車の運行を開始しました。また、前橋駅・中央前橋駅 - 赤城大洞 - 赤城山頂間、桐生駅 - 赤城駅 - 水沼駅 - 利平茶屋間に路線バスの運行も開始しました。さらに、赤城駅から上毛電気鉄道上毛線に乗り入れる急行「じょうもう」も運行していました(1963年に廃止)。
しかし、前橋 - 赤城山頂間の道路が改良された一方で、桐生 - 利平茶屋間の道路は悪路のままでした。また、浅草 - 赤城間の直通急行列車の所要時間が、国鉄急行列車の上野 - 前橋間よりも長かったため、観光客は前橋からの往復利用が主流となり、赤城山東側を通る利用者は減少しました。その結果、ケーブルカーの利用者は減少し、開業からわずか10年後の1967年11月5日に休止、翌1968年6月1日に廃止となりました。
現在の状況
赤城山頂駅の駅舎は、「サントリー・ビア・バーベキューホール」と土産物店に改装され、ケーブルカーの史料が展示されています。また、ホームの跡も残されています。一方、利平茶屋駅は桐生市営の利平茶屋森林公園の中にホーム跡が残るのみです。
路線データ
路線距離: 1.0 km
軌間: 1,067 mm
駅数: 2駅(起終点駅含む)
高低差: 363.4 m
最急勾配: 586‰
最小曲線半径: 300 m
車両
車両は「A」と「B」の2両が在籍し、日立製作所製の全鋼製車体で、定員は121名(座席36名)でした。制動方式はテオドルベル式で、愛称名は付けられていませんでした。車体塗装は当初、黄緑色に2本の赤帯でしたが、後に車体上部の窓周りが赤色に変更されました。
当初は乗用車の積み込みが可能な車両も検討されましたが、技術的な問題で実現しませんでした。
駅一覧
利平茶屋駅
赤城山頂駅
ロープウェイ
赤城山ロープウェイは、ケーブルカー開業の6日後である1957年7月27日に開業しました。ケーブルカーが廃止された後も営業を続け、1968年に社名も赤城山ロープウェイと改められました。1979年からは東武興業の運営となりました。
しかし、赤城山観光の低迷と、リフトを乗り継いでロープウェイを利用することの不便さから利用客が減少し、1998年3月をもって休止、その後廃止されました。
路線データ
路線距離: 586 m
方式: 3線交走式
駅数: 2駅(起終点駅含む)
高低差: 220 m
駅一覧
赤城平駅
地蔵岳展望台駅
参考文献
「失われた
鉄道・軌道をたずねて〔56〕赤城登山
鉄道」『
鉄道ピクトリアル』通巻450号、
電気車研究会、1985年7月。
宮脇俊三『鉄道廃線跡を歩く』JTB〈JTBキャンブックス〉、1995年、pp. 50-51頁。ISBN 4533023371。
東武
鉄道年史編纂事務局 編『東武
鉄道六十五年史』東武
鉄道、1964年。doi:10.11501/2504143。
関連項目
廃線
東武
鉄道
外部リンク
*
赤城山ポータルサイト 公益財団法人 前橋観光コンベンション協会