赤岩 (中之条町)

群馬県中之条町六合赤岩：歴史と自然が息づく山村集落

群馬県吾妻郡中之条町南西部に位置する赤岩地区は、かつて養蚕で栄えた山村集落です。その中心部である赤岩集落は、「中之条町六合赤岩伝統的建造物群保存地区」として、2006年に重要伝統的建造物群保存地区（重伝建）に選定されました。東西約1070m、南北約930m、面積63haに及ぶ保存地区内には、歴史的な建造物群と美しい自然が調和した景観が広がっています。

地理と景観

赤岩地区は、白砂川によって形成された河岸段丘の段丘面上に位置し、標高は約690〜710mです。集落は、南北に走る赤岩本道に沿って家々が立ち並ぶ街村形態を呈しており、その周囲を石垣で造成された農地が取り囲んでいます。集落の背後には豊かな山林が広がり、自然の恵みを受けて暮らしてきた人々の営みが感じられます。

歴史

赤岩地区は、水利に恵まれなかったため、古くから養蚕が盛んに行われてきました。幕末にはすでに養蚕が行われていたという説もあり、明治時代に入ると、近代養蚕技術の導入によって大きく発展しました。明治後期には高山社からの養蚕指導を受け、大正時代には赤岩出身の高山社卒業生が近代的な養蚕の指導にあたるなど、地域全体で養蚕技術の向上に努めました。養蚕は昭和30年代頃まで非常に盛んで、村のほとんどが養蚕を営んでいました。

建造物

赤岩地区には、養蚕が盛んであった頃の特徴的な建造物が数多く残っており、当時の面影を今に伝えています。

湯本家住宅: 三階建ての養蚕農家で、一部は土蔵造りとなっています。幕末には蘭学者の高野長英がかくまわれたとされ、「長英の間」が残されています。
赤岩神社: 明治時代に村内の神社を合祀して成立した神社で、春と秋には祭礼が執り行われます。
上の観音堂: 赤岩で最も古い建築物で、茅葺き屋根が特徴です。堂内には聖観音立像などが安置されています。
毘沙門堂: 集落内の屋敷地の通り沿いに置かれた珍しいお堂で、坂上田村麻呂が創立したとされる新潟県浦佐の善光寺の毘沙門天を祀っています。
向城の観音堂: 聖観音立像などを祀るお堂で、もとは茅葺き屋根でした。
東堂: 集落の南西の方角に建つお堂で、地蔵菩薩像などを安置しています。
稚蚕飼育所跡（どむろの家）: 稚蚕を共同で飼育するために建てられた施設で、内部には養蚕のための温度調節設備が残っています。
かいこの家: 典型的な養蚕農家の建物で、2階には養蚕の用具や資料が展示されています。

これらの建造物は、赤岩地区の歴史と文化を物語る貴重な遺産であり、重伝建地区を構成する重要な要素となっています。

日本遺産

2015年4月24日には、「かかあ天下－ぐんまの絹物語－」の構成文化財として日本遺産にも認定され、その文化的価値が広く認められています。

現在

2004年現在、赤岩地区には61世帯178人が暮らしており、近年では観光客の誘致にも力を入れています。赤岩地区は、歴史的な景観と豊かな自然、そして人々の温かい触れ合いが魅力の観光地として、多くの人々を魅了しています。

アクセス

JR吾妻線長野原草津口駅より六合地区路線バスで約15分、「南大橋」下車後徒歩約5分。
関越自動車道・渋川伊香保ICより約50km。
* 上信越自動車道・碓氷軽井沢ICより約50km。

赤岩地区を訪れ、日本の原風景が残る美しい山村集落の魅力を堪能してみてはいかがでしょうか。

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