赤羽一雄

赤羽一雄（あかはね かずお）

赤羽一雄は1886年4月17日に生まれた日本の教育者で、号は王郎です。彼の人生は、教育に捧げた情熱と、人道主義的な思潮に基づく芸術活動に満ちていますが、その来歴は謎が多く、時に誤解を生む部分もありました。

来歴

王郎の正確な来歴は多くの点で判然としません。履歴書は流浪の生活の中で適当に作成されたものであり、具体的な口述も少なく、特に晩年には彼自身の願望と事実が入り混じった発言をしていました。そのため、彼の生涯について知ることは容易ではありませんが、いくつかの重要な出来事が彼の教育者としての足跡を形作っています。

彼は長野県上伊那郡の東春近村（現在の伊那市）で誕生し、旧制飯田中学を経て、東京美術学校の学校図案課を卒業後、長野県の学務課で働きました。しかし、1910年には自殺未遂を経験し、これが彼の人生に大きな影響を及ぼしました。

その後、1911年に更級郡中津尋常高等小学校の代用教員として教育の現場に立ち、諏訪郡玉川小学校に転任することとなります。この時期、彼は日本の文学や思想の潮流の中で特に重要な人物として知られる武者小路実篤と出会い、白樺派同人との交流を深めました。王郎は長野県における白樺派教育の先駆者となり、人道主義の思想と芸術運動を推進しました。

王郎はその後、東筑摩郡塩尻小学校、和田小学校、埴科郡戸倉小学校で教壇に立ちましたが、1919年には児童向け読物の購入のために学校備品の古書を売却したことで、長野県議会で問題視され、退職処分となってしまいました（戸倉事件）。その後、柳宗悦の元に身を寄せる生活を送ることとなり、松本に移った際には雑誌『地上』を発刊しました。

1921年、柳のすすめで京城の中央高等普通学校に赴任し、その後1923年には鹿児島県の離島で教職についています。1935年には松本に戻り、謄写版印刷の事業を始めました。1939年、周作人と知り合い、中国大陸に渡って日本語を教える試みをしましたが、中国語を習得していなかったため、なかなか受け入れられませんでした。

晩年と移住

第二次世界大戦敗戦前に帰国した王郎は、その後も転居を繰り返し、最終的には1964年に再び妻の故郷である鹿児島へと移住しました。そして、1981年5月21日にその生涯を閉じました。彼の教育者としての業績や思想は、今でも多くの人々に影響を与えています。

参考文献

• - 中村一雄編『わたしの歩いた道 羽王郎口述』 信濃教育会出版部、1982年
• - 今井信雄著『この道を往く 漂泊の教師赤羽王郎』 講談社、1988年
• - 南大三著『赤羽王郎の生き方』 1988年
• - 『長野県歴史人物大事典』 郷土出版社、1989年

赤羽一雄の人生は、教育の重要性を広めることに尽力し続けたものであり、その足跡は今もなお、教育界に影響を残しています。

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