赤見軽便鉄道

赤見軽便鉄道の概要

赤見軽便鉄道（あかみけいべんてつどう）は、栃木県の足利市にある富田駅から佐野市の出流原町に至るまでの軽便鉄道です。この路線は、元々は「赤見鉄道」と改称されました。出流原は石灰岩の産地として知られており、開業当初から観光開発の期待を寄せられていましたが、営業成績が振るわず、最終的には営業を止める決断に至りました。

路線データ

• - 路線距離: 6.4km
• - 軌間: 762mm（2フィート6インチ）
• - 駅数: 5駅（両端を含む）
• - 電化区間: なし（全線非電化）
• - 運行形態: 開業時は5往復をさばき、全線の所要時間は28分でした。客貨混合編成で運行されていました。

幕開けから廃止までの歴史

赤見軽便鉄道の歴史は1912年に始まります。その年、安蘇郡の地域住民たちがプロジェクトの発起人となり、両毛線の富田駅を起点として、出流原までの鉄道敷設を目指しました。最初は人車鉄道として進められていた計画は、県の指導により軽便鉄道へと変更され、1913年に再申請が行われました。

1914年3月31日、ようやく鉄道の認可を受け、工事に着手しましたが、地元の要望や資材価格の高騰、用地の買収の難しさが影響し、工事は遅れがちになりました。結局、1915年4月28日に富田から出流原までの区間が無事に開業しました。

その後、1917年には東武鉄道との接続を計画し、田沼町への延伸申請も行われましたが、これは却下されました。さらに、同年に軽便鉄道補助法の下で許可を受けて10年間の補助金も得ることができましたが、営業は依然として困難を極めました。

鉄道は開業以来、石灰石の輸送が期待されたものの、実際は馬車による輸送が続いており、赤見軽便鉄道は常に赤字経営に苦しみました。補助金も1925年までが期限であり、その延長を求めましたが、実現には至りませんでした。これを受けても状況は改善されなかったため、1927年7月には、株主総会で廃止が決議され、10月20日に正式に営業が終了しました。

駅の一覧

赤見軽便鉄道には以下の駅がありました：

• - 富田駅（とみた）
• - 稲岡駅（いなおか）
• - 市場宿駅（いちばじゅく）
• - 赤見駅（あかみ）
• - 大門駅（だいもん）
• - 出流原駅（いずるはら）
• - 彦間川駅（ひこまがわ、貨物駅）

車両の運行

開業当初の車両はすべて大日本軌道に発注され、蒸気機関車が2両用意されました。客車も開業時には1両が導入され、その後、貨車を改造する形で新たな客車が投入されるなど、数回の改編が行われました。しかし、廃線時には2両の客車と16両の貨車が残るのみでした。

まとめ

赤見軽便鉄道は短命に終わりましたが、地域住民の期待や歴史的な背景に埋もれた鉄道でした。廃線後の車両の行方は不明ですが、今もなお、その痕跡は地域の記憶に留まっています。

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