安蘇郡

安蘇郡（あそぐん）とは

安蘇郡は、かつて栃木県（下野国）に存在した郡です。1878年（明治11年）に行政区画として発足した当時の郡域は、現在の佐野市の大部分、日光市の一部（足尾町各町）、群馬県桐生市の一部（梅田町の一部）に相当します。日光市に属する区域は1889年（明治22年）に上都賀[[郡]]に移管されました。

郡域の変遷

令制国時代の郡域としては、旧上都賀[[郡]]粟野町（現鹿沼市）の範囲まで広がっていたと考えられています。

歴史

古代から中世

安蘇郡は古く毛野国に属していましたが、上つ毛野（上野国）と下つ毛野（下野国）への区分については不明瞭な点があります。万葉集には安蘇郡で詠まれた歌が3首収録されており、その中で「可美都氣努」（上つ毛野）と「志母都家努」（下つ毛野）が登場します。これは安蘇山の裾野が渡良瀬川の河原付近まで伸びているため、川を境に安蘇が途切れることなく、両国にまたがって認識されていたためと考えられています。

782年（延暦元年）：続日本紀に「下野国安蘇郡主帳外正六位下若麻続部牛養」という記述が見られます。
8世紀後半：万葉集の東歌に安蘇郡が登場します。
930年：和名類聚抄に、下野国安蘇郡の郷として、安蘇、説多、意部、麻続が挙げられています。
1688年：下野風土記に、「阿蘇河原並美加保乃関」という記述があります。

江戸時代初期には、公卿の烏丸光広が『日光山紀行』で佐野から一里ほどの場所に「盥窪」という場所があったことを記しています。

近代以降

明治初期の支配状況は、「旧高旧領取調帳」に記載されています。慶応4年（1868年）には、佐賀[[藩]]士の鍋島道太郎が真岡知県事に就任し、幕府領・旗本領を管轄しました。その後、日光奉行が管轄する日光領が収公され、明治2年（1869年）には真岡知県事が日光県に改称されました。

明治4年（1871年）の廃[[藩置県]]により、藩領は前橋県、佐野県、古河県などの管轄となり、同年中に栃木県の管轄となりました。1876年（明治9年）には、上仙波村、下仙波村などが安蘇郡に移管され、町村の合併が行われました。

1878年（明治11年）1[[1月8日]]には、郡区町村編制法が栃木県で施行され、行政区画としての安蘇郡が発足し、佐野町に郡役所が設置されました。

町村制以降

1889年（明治22年）の町村制施行により、佐野町、植野村、界村など5町10村が発足しました。1897年（明治30年）には郡制が施行されましたが、1923年（大正12年）に郡会が廃止され、1926年（大正15年）には郡役所も廃止されました。

1943年（昭和18年）には、佐野町などが合併して佐野市が発足し、郡から離脱しました。その後、町村の合併や編入などを経て、2005年（平成17年）2月28日に葛生町、田沼町が佐野市と合併し、安蘇郡は消滅しました。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 9 栃木県、角川書店、1984年。ISBN 4040010906。
荻原貞興『日光山輪王寺 第十九號』日光山輪王寺門跡執事局、1963年。
旧高旧領取調帳データベース

関連文献

『安蘇郡誌』全国縮類共進会協賛会、1909年。

関連項目

消滅した郡の一覧
阿蘇郡

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