走馬灯

走馬灯（そうまとう）とは

走馬灯とは、内側と外側の二重の枠を持つ灯籠の一種で、内側の枠に取り付けられた影絵が回転し、外側の枠に影絵が映し出される仕掛けになっています。別名、回り灯籠とも呼ばれます。中国が発祥であり、日本には江戸時代中期に伝わり、夏の夜の娯楽として広まりました。俳句の世界では夏の季語として用いられます。

走馬灯の仕組み

走馬灯の基本的な構造は影絵芝居と共通しています。光源には蝋燭が用いられますが、現代では安全性を考慮して電気式のものが一般的です。二重の枠のうち、外側の枠には紙が張られており、これがスクリーンとしての役割を果たします。内側の枠の軸には、人や馬などの絵柄が切り抜かれた紙が貼り付けられています。

影絵が自然に動くのは、内側の枠の構造に工夫が凝らされているためです。枠に取り付けられた軸の上部には風車が備え付けられており、蝋燭の熱によって生じる上昇気流（煙突効果）を受けて回転する仕組みとなっています。これにより、内枠に取り付けられた絵の影が回転し、あたかも絵が動いているかのように見えるのです。

元々は地味な印象を与えるものでしたが、近年ではカラーセロファンなどの普及により、色鮮やかな影絵が映し出されるものも登場しています。

走馬灯の用途

現代の日本では、お盆の時期に走馬灯を飾る風習が残っている地域があります。故人の霊を慰め、供養するためのものとして、静かに回転する影絵が用いられます。

慣用句としての「走馬灯」

人が死を迎える間際、これまでの人生における様々な出来事が次々と脳裏に浮かび、駆け巡るように思い出される現象を「走馬灯のように」と表現することがあります。これは、英語では「ライフレビュー」と呼ばれます。人生の重要な瞬間や感情が、まるで走馬灯の影絵のように高速で展開される様子を的確に表した比喩表現と言えるでしょう。

参考文献

目時伸哉 (2010). 父親として知っておきたい理科の常識. PHP研究所. p. 197. ISBN 9784569790282.
小川仁志 (2021). 『鬼滅の刃』で哲学する. PHP研究所. p. 74. ISBN 9784569901305.

関連項目

スモークジャック
煙突効果

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