超世代軍

全日本プロレスにおいて、1990年から1998年まで活動したプロレスラーのユニット。リーダー格は三沢光晴で、結成当初は川田利明、田上明、小橋健太、菊地毅といった気鋭の若手選手たちが中心となり、小川良成も準メンバーとして名を連ねた。当時の絶対王者であったジャンボ鶴田や、最強外国人スタン・ハンセンらを頂点とする既存勢力に挑むことを旗印として掲げた。

ユニットは結成されるや否や、ジャンボ鶴田率いる鶴田軍や、テリー・ゴディ、スティーブ・ウィリアムスといった屈指の外国人タッグチームとの間で壮絶な闘いを展開。その熱量の高い試合内容は、多くのプロレスファンから絶大な支持を集めた。1990年には、天龍源一郎をはじめとする主力の大量離脱により全日本プロレスが存続の危機に瀕したが、超世代軍は逆境をはね返すかのように闘志を燃やし、求心力を失いかけた団体を立て直す原動力となった。彼らの活躍なくして、この時期の全日本プロレスの立て直しは不可能だったと言える。

時代が移り、ジャンボ鶴田が病気療養のため第一線から退くと、超世代軍は全日本プロレスの中心勢力となった。かつての仲間であり、袂を分かった川田利明、田上明が結成したライバルユニット「聖鬼軍」との抗争は、プロレス史に残る名勝負を数多く生み出した。また、ハンセンやゴディ、ウィリアムス、ベイダーといった強豪外国人選手とも激しい戦いを繰り広げた。これらの死闘を通じて、リング上の攻防はより苛烈かつスリリングになり、これが後に「四天王プロレス」と呼ばれるスタイルとして結実する。三沢光晴、川田利明、田上明、小橋健太という、後の「全日本プロレス四天王」が中心となり、このスタイルは90年代の全日本プロレスの隆盛を支え、プロレス界に確固たる一時代を築き上げた。

超世代軍は、その活動期間中にメンバーの入れ替わりも経験している。結成直後に田上明が、1991年には準メンバーだった小川良成が鶴田軍へと移籍。1993年には中心メンバーの一人であった川田利明が脱退し聖鬼軍を旗揚げするが、この時期に浅子覚と秋山準が新たに加入した。その後も1995年に菊地毅が聖鬼軍へ、1997年には小橋健太がGETを結成するため離脱。解散直前の1998年には秋山準もバーニング結成のため脱退している。このように、次第に主要メンバーが独自の道を歩み始め、小橋や秋山といった新世代の台頭が進むにつれて、ユニットとしての求心力が薄れていき、その機能が形骸化した結果、1998年に正式に解散を迎えた。なお、後に「四天王」と呼ばれる三沢、田上、川田、小橋の四人が、短期間ではあるものの同時に同じチームに所属していたのは、この超世代軍が唯一の例である。

超世代軍、あるいはそのメンバーは、全日本プロレスマットで輝かしい戦績を残している。

三冠ヘビー級王座: 三沢光晴、小橋健太
世界タッグ王座: 三沢光晴&川田利明組、三沢光晴&小橋健太組、三沢光晴&秋山準組
アジアタッグ王座: 小橋健太&菊地毅組
チャンピオン・カーニバル優勝: 三沢光晴
世界最強タッグ決定リーグ戦優勝: 三沢光晴&川田利明組、三沢光晴&小橋健太組
あすなろ杯争奪リーグ戦優勝: 秋山準

また、プロレス大賞でも複数の賞を受賞している。

最優秀タッグチーム賞: 三沢光晴&川田利明
特別大賞: 三沢光晴
年間最高試合賞: 川田利明（受賞時の所属は聖鬼軍だが、超世代軍との抗争における受賞）

解散から時を経た2002年、プロレスリング・ノアで行われた浅子覚の引退記念興行において、三沢光晴、小橋健太、浅子覚のトリオが、かつての超世代軍時代のコスチュームと入場テーマ曲で登場し、ファンを喜ばせた。これは文字通りの「一夜限りの再結成」として、多くのファンの記憶に刻まれている。

関連するキーワード:

全日本プロレス
鶴田軍
聖鬼軍
GET
バーニング
アンタッチャブル
ノーフィアー
プロレス四天王
王道プロレス

もう一度検索