越村信三郎

越村 信三郎に関する詳細

越村信三郎（こしむらしんざぶろう、1907年10月16日 - 1988年11月27日）は、日本の経済学者および会計学者であり、特に横浜国立大学の第5代学長として知られています。彼は石川県金沢市に生まれ、1933年に東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業しました。

彼の経済学の師である大塚金之助に学び、キャリアをスタートさせました。まずは横浜高等商業学校で講師としての経験を積み、そののち助教授、教授と昇進していきます。太平洋戦争が勃発した1943年には、総力戦研究所の研究員として従事していました。 戦後の1949年には横浜国立大学の教授に就任し、それと並行して横浜経済専門学校でも教鞭を執りました。1953年には関西学院大学から経済学博士の学位を取得し、翌年には日本学術会議の会員に選出されています。

越村は、1956年以降、日本学術会議のメンバーとして活躍し、1961年には経済学部長、1969年には学長事務取扱、1970年には名誉学長に任命されました。1973年には定年退官し、名誉教授の称号を得た後、和光大学で教授職に就き、1978年に退職しました。彼の業績に対する評価として、同年には勲二等旭日重光章を受章し、1988年には正四位に叙されました。

越村信三郎は、経済循環をマルクス経済学の観点から数学的に解析し、その後会計学に重点を置いた研究を行いました。彼のゼミからは数多くの優れた学生が巣立っており、その中には久保庭眞彰（一橋大学名誉教授）も含まれています。

主な著作

越村は多くの著書を残しており、その内容は経済学から会計学にわたる広範な範囲にわたります。例えば、1942年に発表した『経済循環の基本図式』や、1944年の『経済循環の価値法則』は彼の経済循環に関する基本的な考え方を示しています。また、1946年の『やさしい資本論』においては、マルクス主義に基づいた経済の見方を一般読者にもわかりやすく解説しています。

さらに彼は、経済学の歴史を振り返る著作や、労働価値説に基づく研究も行い、経済学の基礎から応用に至るまで幅広い視点を提供しました。特に、行列簿記に関する研究は、計算方法に新たな道を開くものであったと評価されています。著書『マトリクス経営と未来会計』や『だれにもできるマトリックス会計 経営を変える経理革命』などでも、その独自の視点を展開しています。

翻訳業務

越村はまた、経済思想史に関する大規模な翻訳なども手掛け、国際的な経済学の潮流にも影響を与えました。例えば、1954年から1955年にかけて行ったH.W.スピーゲル編の『経済思想発展史』の監訳は、経済学の初歩から近代的な考えまでを網羅する貴重な資料です。

越村信三郎の研究と著作は、経済学が直面するさまざまな課題に対する理論的なアプローチを提供し、多くの後進に影響を与え続けています。彼の業績は現代経済学と会計学の発展にも寄与しており、彼の名は日本の経済学界に燦然と輝き続けています。

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