越来城

越来城について

越来城（ごえくじょう）は、沖縄県沖縄市城前町の丘陵地に存在した歴史的な城、通称グスクです。この城は琉球王朝時代に重要な役割を果たしましたが、沖縄戦などの影響でほとんどの遺跡が失われてしまいました。越来城の跡地には、今も歴史の名残が感じられる場所が存在します。

越来王子とその役割

越来城といえば、「越来王子」が思い浮かびます。琉球王朝時代、王子として名を馳せた越来王子は、王朝の歴史に深く関わっていました。第一尚氏の尚巴志王は、越来間切を彼の七男である尚泰久に与え、尚泰久は越来城に入城し越来王子と名乗りました。彼は護佐丸の娘を正室に迎えた後、1454年には琉球国の王として首里城に移りました。現存する文献「琉球国之図」には1453年に越来城が五欲城と記されており、尚泰久の影響力を示唆しています。また、1457年には尚泰久が魏古城に寄進した銅鐘も城の歴史的価値を高めています。

第二尚氏時代には、尚円王の王弟である尚宣威が越来城に入城し王子を名乗りましたが、兄の即位後に自身も即位しましたが、その後すぐに退位し越来に戻って静かな生活を送りました。また、尚真王の第四王子である朝福も越来王子の名を受けており、越来城の歴史は代々の王子たちに繋がっています。

現在の越来城跡

現在においては、城前町にある城前公園の一角に「越来グシクの拝所」として、越来城の歴史が現在まで残る形で記録されています。また、越来城跡には「越来グスク跡」という標識が設置されています。北側には美しい比謝川が流れ、その沿線に位置する越来城水辺公園は、2008年に整備され、地域の人々が集う場所となっています。この公園では、毎年夏の終わりに「越来城下まつり」が開催され、地域の人々と観光客が交流を深める機会を提供しています。水辺公園は、過去の災害困難を乗り越えた地域コミュニティの活動の拠点であり、平成24年度の手づくり郷土賞を受賞しています。

さらに、2019年には国の名勝「アマミクヌムイ」に追加指定されました。この指定は、「おもろさうし」という琉球古謡において、琉球の開拓の神アマミクと越来城が結ぶ古い伝承を根拠にしています。越来城はこれからも、地域の歴史や文化が息づく重要な場所として、多くの人々に親しまれていくことでしょう。

もう一度検索