趙国宝

趙国宝（ちょう こくほう）とは

趙国宝は、生没年不詳の武将であり、モンゴル帝国に仕えた逸材です。彼の父であるアンチュルもまた、陝西・四川への進出に大きな足跡を残した武将でした。趙国宝は、モンゴル名はヒジルで、『元史』においては黒梓（hēizǐ）や黒子（hēizǐ）と表記されています。

幼少期の鍛練

幼い頃から剣術に励み、また学問にも親しんだ趙国宝は、その成長の過程で父の軍務を支える役割を果たしました。彼の父が元帥に任命されると、趙国宝は軍務を託され、その功績が大いに称賛されることとなります。

四川侵攻と功績

モンゴルの第4代皇帝モンケの治世下での四川侵攻にも参加し、特に重慶攻めでは南宋の将軍、張実を投降させる傑出した戦績を残しました。この戦いでは、戦術と決断力をもって戦う姿が見られました。

帝位継承戦争

しかし、モンケの急死後、帝位継承を巡る争いが勃発しました。趙国宝とその父のアンチュルは、クビライ派に支持を寄せ、アリク・ブケ派のアラムダール率いる軍と対立しました。この戦いの中で、趙国宝は中統元年（1260年）に重要な戦闘に参加し、さらに中統3年（1262年）には、アラムダール配下の武将クドゥによる反乱を鎮圧するために派遣されました。

ここで、趙国宝の戦略が光ります。彼はクドゥ軍を一度は破ったものの、勢いを維持し続けるのではなく、敵の動きを見極めて巧妙に策略を使用しました。敵を追撃する際には、単なる数の強さに頼らず、知恵を駆使した戦術を優先しました。これにより、最終的には敵将を捕らえて討つという成功を収めました。

家族と遺産

趙国宝は軍功を重ねる一方で、父の地位を継承するのは兄のチェリクでした。そのため、趙国宝は自身の血筋に意味ある役割を与えようと考え、弟の趙国能を派遣して吐蕃酋長を投降させました。また、クビライに対策を上奏し、文州に城壁を築くことを提案し、これが受け入れられたことで彼はその地の支配権を得ました。文州の統治においては、善政を施して讃えられ、多くの民から支持を受けました。

趙国宝の死と遺族

きわめて有能な彼も、至元4年（1267年）にこの世を去りました。彼の息子ノカイ（趙世栄）が幼かったため、趙国宝の弟である趙国安がその後を継ぎました。しかし、やがてノカイが成長した際、彼は父や叔父の役割を引き継ぎ、さらなる高みを目指しました。

ノカイは安遠大将軍や吐蕃宣慰使議事都元帥の地位を得るに至ります。彼は14世紀初頭には陝西行省の平省政事に任命され、当時の政局にも大きな影響を持っていました。他方、弟の趙世延は中央官署での役職に従事し、著名な権力者たちとも対立し、最終的にはクビライから後のカーンまで50年以上にわたり仕えました。

このように、趙国宝の家系はモンゴル帝国の重要な地で力を持ち続け、彼の遺産は現代にまで続いています。

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