趙尊嶽

趙尊嶽の生涯と業績

趙尊嶽（ちょう そんがく、1898年 - 1965年）は、中華民国における著名な政治家であり、詞学者としても広く知られています。彼は清光緒24年に生を受け、父親は清朝時代の著名な官僚である張之洞の幕僚であった趙鳳昌です。彼は早くからその才能を発揮し、交通部工業専門学校を卒業した後、上海で「申報」の経理秘書として勤務を始めました。

政治活動の初期段階

行政院駐平政務整理委員会の参議を経た後、国民政府鉄道部の参事に就任しましたが、1932年4月には職を辞しました。しかし、その後の1940年には汪兆銘（汪精衛）の南京国民政府に参加し、鉄道部の政務次長に任命されました。この役職を通じ、彼は中央政治委員会の委員も務めることとなり、同委員会ではその後4期にわたり活動を続けました。

1941年8月には行政院の政務委員に昇進し、1942年2月には上海市政府の秘書長に任じられました。また、その年には清郷委員会および新国民運動促進委員会の委員も兼任しました。彼は1944年1月には上海財務委員会の委員長に就任し、同じ年の3月には中央政治委員会の副秘書長を務め、その年末には秘書長や最高国防会議の秘書長、さらには宣伝部部長という要職を同時に担うという多忙な日々を送ることとなります。

戦後の激動と逮捕

日本の敗北後、趙尊嶽は1945年8月17日に発生した周鎬事件において逮捕されました。この事件では南京国民政府税警団が中央儲備銀行を占拠し、政府の武装解除や要人の逮捕が行われましたが、彼はその後、説得により釈放されました。しかしその後の1945年9月には蔣介石率いる国民政府に再び逮捕され、1947年1月24日には無期懲役を言い渡されるという厳しい運命を辿りました。最終的には後に釈放され、1950年には香港へ移住しています。

晩年と学問への貢献

1958年にはシンガポール国立大学に教授として招聘され、国学について教鞭をとりました。彼は学問においても成果を残し、『明詞匯刊』など多くの研究業績を出しました。1965年にはシンガポールでこの世を去ることとなり、その享年は68歳でした。評価されるべきは、彼の息女趙文漪が父の直筆原稿を中国国家図書館に寄贈したことで、彼の業績は今なお多くの人々に知られています。

参考文献

• - 徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。
• - 唱春蓮「趙尊嶽手稿入蔵我館的経過」 『文津流觴』第2期, 2001年12月。
• - 余子道ほか『汪偽政権全史 下巻』上海人民出版社、2006年。
• - 劉傑『漢奸裁判 対日協力者を襲った運命』中央公論新社（中公新書）、2000年。
• - 劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。

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