中国国家図書館

中国国家図書館

中国国家図書館は、中国北京市海淀区と西城区に位置する、中国で唯一の国立図書館です。対外的には中国国家図書館と称されています。その蔵書数は2012年12月時点で31,195,121点に達し、「国の総書庫」「国家書誌センター」「国家古籍保護センター」としての重要な機能を担っています。1期新館は外国語文献や専門文献を中心とした研究者向けのサービスを提供し、2期新館は中国語の新文献や電子情報を中心とした一般向けのサービスを提供しています。また、古書や貴重書を所蔵する古籍館も擁しています。

歴史

中国国家図書館の起源は、1909年に開館した京師図書館に遡ります。1902年に清朝廷で国家図書館の建設が提言され、1909年に学部（教育部）が国家図書館の建設を進言しました。同年9月から建設が始まりましたが、政情不安のため捗らず、広化寺が仮の図書館として機能しました。1911年に清が滅亡した後、図書館は中華民国教育部の管轄下に入り、1912年8月27日から正式に利用者を受け入れました。1913年6月には、交通の便が悪い本館に代わる分館が都心部に設置され、閲覧用の常用書籍が置かれました。1917年に図書館は方家胡同に移転しました。

1928年に京師図書館は「国立北平図書館」に改称され、中南海居仁堂に移転しました。翌1929年には北平図書館は北海公園内の北海図書館と合併し、北海付近に新館が建てられました。合併当時の蔵書数は400,000を超え、中国最大の規模を誇りました。

日中戦争中は重慶に本部を移し、終戦後の1945年に北京に戻りました。戦時中には多くの善本が上海に送られましたが、当時の館長・袁同礼の尽力により、図書の保全が図られました。絵画や写本など約60,000点の資料がアメリカに送られましたが、1965年に国立台湾図書館に返送されました。

1950年に「国立北京図書館」、翌1951年に「北京図書館」に改称されました。中華人民共和国成立後、図書館はサービスの改善に力を入れ、収書、閲覧、レファレンス、書誌業務などが大きく向上しました。1978年には一日の平均入館者が約25,000人に達しましたが、これは文化大革命後の読書制限の緩和が背景にあります。また、コンピューターの導入による図書資料の管理・閲覧作業の自動化、資料のマイクロ化・視聴覚化も進められました。1987年には海淀区に新館が建てられ、これまでの建物は古籍館として利用されています。

1995年からデジタル化とネットワークの構築が推進され、同年に電子閲覧室が開室、1997年に図書館のホームページが開設されました。1998年12月に北京図書館は「国家図書館」に改称されました。2001年に国務院は「国家図書館2期ならびに国家デジタル図書館基礎プロジェクト」を承認し、創立99周年記念日の2008年9月9日に2期新館、中国国家デジタル図書館が一般に開放されました。

蔵書

1912年8月の開館当時の蔵書数は約100,000冊でした。1916年に納本制度が採用され、国家図書館としての機能を持つようになりました。中国国内の出版物を収集し、博士論文や図書館学の専門資料、全国年鑑資料などを収蔵しています。洋書・西洋雑誌の購入と収蔵は1920年代から開始されており、洋書の所蔵数は中国国内の図書館の中で最も多いです。1949年当時約1,400,000冊だった蔵書は、1979年には9,000,000冊に増加しました。1970年代から目録の機械化が進められ、中国国内の全文デジタル化計画の中心となっています。

中国国家図書館の蔵書量はアジア最大規模であり、2012年当時では約3億1,100万点のコレクションを保有し、世界最大の図書館の一つに数えられています。国際連合や外国政府の刊行物、文献、資料を所蔵し、その言語は115を超えます。また、甲骨文字が刻まれた亀甲や獣骨、古代の写本、木版印刷による印刷書も含まれています。古代の書物、稀覯本、歴史的文書の数は270,000冊、糸で綴じた伝統的な書籍は1,600,000冊にのぼります。図書館のコレクションの中で最も珍しいものとして、過去の中国王朝が残した文書・記録が挙げられ、地図、海図、碑文の拓本も貴重な資料として管理されています。カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス、毛沢東の手稿、『資本論』フランス語初版の校正刷、『資本論』ドイツ語初版といった社会主義関連の貴重な資料を多く所蔵している点も特色です。

中国国家図書館では文化遺産の散逸を防ぐため、貴重な孤本、善本、中国革命の歴史的文献などの収集に力を入れています。京師図書館は明代の文淵閣の蔵書を継承し、南宋の緝熙殿の蔵書も含まれています。『永楽大典』の副本のうち、半分以上を所蔵し、世界最大の所蔵量を誇ります。また、『四庫全書』の正本や敦煌文献も収蔵しています。

サービス

中国国家図書館は、中央政府機関、重点科学研究、教育、一般市民に対してサービスを提供しています。全国の図書館の標準化、規範化、デジタル化、ネットワーク化の中心であり、業務指導も行っています。図書館学の研究機関でもあり、国内外の図書館との交流や協力、協定締結も行われています。

全国書籍目録センターとして国家書籍目録、総合目録、所蔵目録を編集、出版しています。中国国家書目、民国時期総書目、中国古籍善本書目などの書誌を作成しています。1997年に全国図書館総合目録センターが設立され、CNMARKが提供されました。中国語書籍のほかに定期刊行物、台湾図書、民国図書など20超の目録データベースが提供され、多くの機関で利用されています。中国図書館協会の事務局も設けられています。

建物

古籍館

1931年に竣工した伝統的な宮殿建築で、朱塗りの大門や獅子像、動物をかたどった瓦が特徴です。庭園には明代の石柱や石碑が置かれています。15の閲覧室と約700の閲覧席を有し、歴史的に重要な書籍や文書が収蔵されています。2006年に全国重点文物保護単位に登録されました。

南館（1期新館）

1987年に落成した新館で、地上19階、地下3階建てで、2,000,000冊の図書が収蔵可能です。3,000の閲覧席が設けられ、多くの利用者が訪れます。「80年代北京十大建築」に数えられています。2014年には中国国家典籍博物館が開設されました。

北館（2期新館）

ドイツの建築事務所と華東建築設計研究院による設計で、滑らかな外観が特徴です。閲覧スペースは地下1階から地上4階まであり、2,900の閲覧席を備えています。開放的な環境を目指し、様々なエリアが設けられています。無線LANアクセスやRFIDを利用したスマートナビゲーションサービス、電子書籍の閲覧装置、視覚障碍者向けのエリアなど、様々なサービスが提供されています。2010年には少年児童図書館が開設されました。

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