趙徳勝

趙徳勝（ちょうとくしょう）：朱元璋を支えた剛勇の将

趙徳勝（1325年 - 1363年）は、元末の混乱期に頭角を現した軍人です。安徽省鳳陽県出身で、朱元璋の旗下で数々の戦功を挙げ、明朝の建国に貢献しました。

生涯

趙徳勝は、馬槊（ばさく）という長柄の武器の名手で、戦場では常に先頭に立ち、その勇猛さで味方を鼓舞しました。性格は剛直で厳格であり、将兵を厳しく統率したと伝えられています。学問には明るくありませんでしたが、状況に応じた適切な判断力と、古の法に通じるような動きを見せました。その一方で、普段は友人に修士のように親切に接する一面も持ち合わせていました。

元末の混乱期に義兵を率いて、元の王忙哥の配下となりました。しかし、朱元璋が滁州を攻略した際、趙徳勝は母親を軍中に残し、妻子を捨てて朱元璋に臣従しました。朱元璋はこの忠誠心を喜び、彼を重用しました。趙徳勝は帳前先鋒として、鉄仏岡の攻略や三汊河の戦い、張家寨の攻略、全椒の攻略といった数々の戦で活躍しました。

1354年10月には、六合の戦いで流れ矢に当たり重傷を負いましたが、鶏籠山の戦いで敵軍を破り、烏江を攻略するなどの活躍を見せました。1355年1月には、和州と含山を攻略し、陳埜先の陣を急襲、板門を突破して二つの要塞を落とし、儀真を攻略しました。これらの功績により、総管府先鋒に任命されました。同年6月には、渡江して太平、蕪湖、句容、溧水、溧陽の攻略にも貢献しました。

1356年2月には、常遇春に従い、采石で蛮子海牙を破り、方山では陳兆先の陣営を打ち破りました。3月には、集慶の攻略戦で最大の功績を挙げました。その後、徐達に従って鎮江を攻略し、苗軍の水寨を破りました。1357年には、丹陽と金壇を攻略し、4月には寧国、6月には江陰を攻略しました。7月には、先鋒として常熟を攻め、張士徳を捕らえました。

1359年2月には、湖州を攻略しましたが、3月に宜興が反乱を起こしたため、兵を返してこれを鎮圧し、中翼左副元帥に進みました。

1360年5月には、陳友諒が龍江に侵攻し、趙徳勝は朱元璋の命で龍江の第一関門である虎口城を守備しました。陳友諒軍が来襲すると、趙徳勝は力戦してこれを防ぎ、伏兵による攻撃によって陳友諒軍を大敗させました。勢いに乗って太平を回復し、銅陵の臨山寨、黄山橋、馬馱沙を攻略しました。高郵の攻略でも功績を挙げ、後翼統軍元帥に進みました。

1361年8月、朱元璋の西征に参加し、安慶の水寨を破り、風に乗って小孤山を遡りました。九江まで五里の距離に迫ると、陳友諒は恐れて逃亡しました。趙徳勝は黄梅、広済を降伏させ、瑞昌、清江、吉安を攻略し、安慶へ帰還しました。11月には撫州、新淦を攻略し、12月には九江を攻略しました。

1362年4月、南昌が反乱を起こすと、これを鎮圧しましたが、火砲によって肩に傷を負いました。その後、僉江南行枢密院事に進みました。5月には、朱文正、鄧愈と共に南昌を守り、10月には羅友賢を破って池州を平定し、西山で陳友諒の将を打ち破りました。12月には、清江、吉安、撫州を回復しました。

1363年4月、陳友諒は大軍を率いて洪都府を包囲しました。趙徳勝は数千の兵を率いて城を出て戦い、陳友諒の将を射殺し、敵軍を大いに怯ませました。翌日、陳友諒軍は洪都府を幾重にも包囲し、陳友諒自身が督戦しました。昼夜を問わず攻撃が続き、城壁が破壊される中、趙徳勝は諸将と共に必死の防戦を続けました。戦闘ごとに城壁を築き、修復させました。暗くなっても、城楼に座って兵士を指揮しましたが、6月、腰に弩を受け、鏃が六寸も入り込んでいました。彼はそれを引き抜くと、「私は若い頃から従軍し、何度も矢や石で傷ついてきた。死ぬことは悔やまないが、中原を平定できないのが残念だ」と嘆き、39歳で亡くなりました。

趙徳勝は死後、梁国公を追贈され、武桓と諡されました。功臣廟、太祖廟に祀られ、豫章に忠臣廟が建てられ、趙徳勝は筆頭として祀られました。その勇猛果敢な戦いぶりと、忠義を尽くした生き様は、後世に語り継がれています。

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