趙思温(ちょう しおん)
生涯
趙思温は、生年不詳ながら、
遼(契丹)の時代に活躍した
軍人であり
政治家です。
字を文美といい、盧龍軍の出身でした。若い頃からその果敢さと並外れた膂力で知られ、盧龍軍
節度使の劉仁恭の配下となりました。
李存勗が燕に侵攻した際、趙思温は軍を率いてこれに対抗しました。激戦の中、流れ矢が目に当たるという重傷を負いながらも、服を裂いて止血し、戦い続けたという逸話が残っています。しかし、最終的には
李存勗の将である周徳威に捕らえられました。
李存勗は、趙思温の勇猛さと不屈の精神に感銘を受け、彼を解放しました。その後、趙思温は
李存勗から厚い信頼を得るようになり、
後梁との戦いでは、その武勇を大いに発揮しました。この功績により、平州
刺史に任じられ、平営薊三州都指揮使を兼任することになりました。
917年、
耶律阿保機が燕の地を攻略すると、趙思温は契丹に降伏しました。その後、渤海への遠征にも参加し、漢軍都団練使として扶余城を攻略するなどの武功を立て、その際に数カ所の傷を負ったそうです。
耶律阿保機は、自ら薬を調合して趙思温の治療にあたったと伝えられています。
太宗が即位すると、趙思温はこれまでの功績により、検校太保・保静軍
節度使に抜擢されました。
936年、石敬瑭が救援を求めてきた際には、太宗の命により、趙思温は軍を率いて石敬瑭を支援しました。その後、南京留守・盧龍軍
節度使・管内観察処置等使・開府儀同三司に転じ、侍中を兼任し、協謀靖乱翊聖功臣の号を授けられました。さらに、臨海軍
節度使に転じました。
938年、趙思温は耶律牒蝋に従い、
後晋への冊礼使として赴きました。帰還後、検校
太師の位を加えられました。しかし、
939年3月、自宅の庭に隕石が落下するという出来事があり、その後、趙思温は
不整脈を発症し、亡くなりました。死後、
太師・魏国公の位が追贈され、昌平県五華山に葬られました。
人物
趙思温は、その生涯を通して、武勇に優れ、勇猛果敢な人物として描かれています。敵に捕らえられても屈しない精神力と、重傷を負っても戦い続ける不屈の闘志は、多くの人々に感銘を与えました。また、その武勇だけでなく、
政治家としての才能も持ち合わせており、
遼の発展に大きく貢献しました。
子孫
趙思温には、趙延煦と趙延靖という二人の息子がいました。
脚注
伝記資料
* 『
遼史』巻76 列伝第6