足利市歌

足利市歌の歴史と市民愛唱歌

足利市歌（あしかがしか）は栃木県足利市がかつて制定した市歌であり、正式には1935年に制定されました。この市歌は昭和天皇の行幸を記念し、地域の愛を育むために制定されたもので、作詞は尾上柴舟、作曲は平岡均之によるものです。記事では、現在の市歌である「われらのまちに」についても触れ、その制定過程や背景を詳しく説明します。

市歌の制定

足利市は1921年に設立され、県内では2番目の市として誕生しました。市歌の誕生は1934年の昭和天皇による行幸に由来しています。この行幸の際、陸軍特別大演習が行われ、これを記念する形で市歌が求められました。1935年には市旗と共に市歌制定の公募が開始され、審査には市内の教育者が参加しました。112編もの作詞応募がありましたが、どれも当選作とはなりませんでした。

その結果、東京女子高等師範学校の教授である尾上柴舟が作詞を担当し、作曲は平岡均之が委嘱されました。尾上は歌詞作成のために足利市を訪れ、地域の文化や歴史に根ざした歌を仕上げました。こうして市歌は1935年11月16日に正式に制定されました。歌詞には「足利学校」や「両崖山」、「渡良瀬川」といった地域の名所が取り入れられており、感謝と誇りを表現しています。また、歌詞は行幸を記念する内容を含んだもので、当初の目的を十分に反映しています。

愛唱歌の制定

1971年、足利市は市制施行50周年を迎えますが、当時の公害問題が影響し、市歌の歌詞の一部が問題視される事態が発生しました。特に、煤煙の表現は時代にそぐわないとの意見が強まりました。1981年には「市民に親しまれる歌の検討専門委員会」が設立され、市歌自体は存続するものの、市民から新たな愛唱歌の公募が行われました。この公募から約115編の応募があり、清水次郎の作詞が選ばれ、作曲は八洲秀章によって「われらのまちに」が誕生しました。この歌は1957年11月14日に市民愛唱歌として制定され、以来市民に親しまれています。

市歌の代替わり

足利市民の中には市歌の見直しを求める意見が以前から存在していました。特に2005年には大豆生田実が市歌の見直しを提案し、2009年には初当選を果たした市長が2011年の足利市制施行90周年記念事業を通じて、市民愛唱歌を新たな市歌とする決定がなされました。この変更は、2011年4月1日に実施され、以降は「われらのまちに」が市歌として親しまれています。

2024年からは新市歌の録音CDが市役所で販売され、旧市歌との違いや、新旧両市歌の歌詞や音源は市の公式ホームページでも視聴可能です。ただし、旧市歌の3番にあたる内容や、「御立の岡」と「市の旗」を含む部分は記載されておらず、歌唱音源にも含まれていないのが特徴です。

歌碑の設置

また、足利市役所庁舎の正面玄関脇には旧市歌の歌碑が設置されており、地域の文化的なアイコンとして市民に親しまれています。これによって、足利市の歴史や市民の誇りが後世に受け継がれることが期待されます。

このように足利市歌とその後の市民愛唱歌「われらのまちに」は、地域の歴史や文化を反映し、市民の愛情の象徴として存在しています。

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