足立尚計

足立尚計（あだち しょうけい）氏は、1960年生まれの日本の歴史学者、神道学者、歌人、エッセイスト、そして神職という多彩な顔を持つ人物です。本名は角鹿 尚計（つのが なおかづ）といいます。福井県立大学の客員教授を務める傍ら、福井市立郷土歴史博物館の元館長（第17代）でもありました。皇學館大学で博士（文学）の学位を取得しており、その学位請求論文は「古代氏族とその祭祀の研究-越前地方を中心に-」です。研究者として、福井県の歴史と文化に深く根ざした活動を展開しています。

足立氏は、日本文藝家協会、現代歌人協会、日本ペンクラブ、日本歌人クラブといった文芸団体の会員でもあります。明治維新防長殉難者顕彰会会員、白鷺舎（松平春嶽・橋本左内の顕彰・研究の会）顧問も務めています。『短歌人』同人であり、歌人としては福島泰樹に師事しました。また、氣比神社（福井県越前町気比庄）をはじめとする兼務9社の宮司も務めており、神職としての側面も持ち合わせています。

大阪市天王寺で生まれた足立氏ですが、実家の先祖は山口県萩市出身であり、現在の本籍は福井県にあります。1983年に皇學館大学文学部国史学科を卒業後、福井市立郷土歴史博物館の学芸員となります。2002年には、角鹿国造家（旧万性院家）を継承し、氣比神社の宮司に就任しました。その後、福井市立郷土歴史博物館で主任・学芸員、副館長を経て、2015年に館長に就任。2021年からは福井県立大学の客員教授も務めています。

著書も多数あり、『知られざる福井の先人たち』、『ふくい女性風土記』、『風の俤-ふくいの客人たち-』、『ことばの動物史』など、福井県の歴史や文化、言葉に関する著作を発表しています。近年では、『由利公正 万機公論に決し、私に論ずるなかれ』、『日本古代氏族の祭祀と文献』、『橋本左内 人間自ら適用の士あり』、『評伝 橘曙覧　名利を求めず心豊かに生きた市井の歌人』といった評伝や研究書も刊行しています。歌集としては、『予言の鳥』、『ゴッドハンド』、『サルペドンの風斬る朝に』があります。

また、福井市立郷土歴史博物館の館長として、数多くの主要な展示会を企画・開催しました。『福井の肖像画』、『天下のこと成就せり -福井藩と坂本龍馬-』、『柴田勝家 -北庄に掛けた夢とプライド-』、『古典が語る継体天皇』、『越前山縣家と武田信玄』、『橋本左内と弟綱常』、『松平春嶽をめぐる人々』、『橋本左内と安政の大獄』、『大奥』、『藤島神社の宝物』、『古代越前の文字』、『合戦 -生き残れ未来（あす）のために-』など、福井県の歴史や文化を深く掘り下げた展示会は、多くの人々に感動と学びを与えました。

共著としては、『わたしの橘曙覧論と平成独楽吟』、『ふくい女性の歴史』、『福井市史』通史編1 古代・中世、『真宗山元派本山 證誠寺史』、『松平家の謎』、『瑞源寺と松平吉品』などがあります。訳注としては、橘曙覧『独楽吟 ひとりたのしめるうた』、橋本左内『やさしい啓発録』、日本書紀口語訳『継体天皇物語』、松平春嶽『逸事史補』などを手掛けています。

このように、足立尚計氏は、歴史学者、神道学者、歌人、エッセイスト、神職として、多岐にわたる分野で精力的に活動し、福井県の歴史・文化の発展に大きく貢献している人物です。

もう一度検索