跡津川断層

跡津川断層

跡津川断層は、富山県の立山から岐阜県の天生峠にかけて、約70kmにわたって延びる活断層です。この断層は、日本を代表する右横ずれ断層の一つであり、活動度A級に分類されています。断層の存在は、周囲の地形や地質に大きな影響を与えており、その特徴的な姿は、地質学的な観点からも非常に興味深いものです。

地形と地質

断層の名前の由来となった跡津川は、断層に沿って直線的に流れています。この川が注ぎ込む高原川は、断層の動きによって大きく右にずれ、クランク状に屈曲しています。また、本流である宮川も跡津川断層と交差しており、その流れには屈曲が見られます。これらの川の形状は、断層の活動が地形に与える影響を如実に示しています。

飛騨市宮川にある池ヶ原湿原や、飛騨市と白川村の境界に位置する天生湿原も、跡津川断層の断層面上に存在します。これらの湿原は、断層の活動によって地盤が沈降したり、地下水が湧き出したりすることによって形成されたと考えられています。特に天生湿原は、貴重な高山植物が生息しており、自然保護の観点からも重要な場所です。

過去の地震活動

跡津川断層は、安政5年（1858年）に発生した飛越地震の震源断層と推定されています。この地震では、断層に沿って位置する集落で家屋の倒壊が著しく、被害が集中しました。また、断層の北西端にある立山の鳶山では、大規模な山体崩壊（鳶山崩れ）が発生し、これは日本三大崩壊の一つとして知られています。これらの出来事は、跡津川断層が過去に大きな地震を引き起こした証拠であり、その活動の大きさを物語っています。

一般的に、活断層の活動周期は数千年単位とされており、跡津川断層においても、近い将来に大規模な地震が発生する可能性は低いと考えられています。ただし、断層の活動状況を継続的に監視し、地震災害に備えることは重要です。

真川の跡津川断層

真川の跡津川断層は、跡津川断層の東端にあたる富山県富山市に位置しており、国の天然記念物にも指定されています。この場所では、断層のずれや変形が観察できるため、地質学的な研究対象としても貴重です。

関連項目

跡津川
歪集中帯
牛首断層
日本の断層一覧

外部リンク

岐阜県の地学／跡津川断層
岐阜県の地学ギャラリー／跡津川断層
地質鉱物系の天然記念物（富山県デジタル文化財ミュージアム）
国指定文化財 データベース（文化庁）

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