天生峠

天生峠（あもうとうげ）

岐阜県飛騨市と大野郡白川村の境界に位置する標高1,289mの峠で、飛騨地方と白川郷を結ぶ重要なルート上にあります。

地理と交通

天生峠は、神通川流域の飛騨市側から庄川流域の白川村側へ抜ける国道360号に位置しています。白川郷からの標高差は約800mにもなり、峠道は狭く、急な坂道やカーブが連続する山岳路です。そのため、大型車両（全長8m以上）は通行が禁止されています。また、普通車であっても、積雪期である冬季は通行止めとなるほか、地盤が脆弱なため、雪のない時期でも度々崖崩れが発生し、通行止めになることがあります。例年、11月中旬から5月末までが閉鎖期間となります。

自然と景観

天生峠は、「中部北陸自然歩道」のモデルコースの一部である「天生湿原とブナ原生林のみち」のルート上にあります。峠一帯にはブナをはじめとする落葉広葉樹の原生林が広がり、秋には美しい紅葉が見られます。また、峠の周辺には、岐阜県の天然記念物に指定されている天生湿原などの高層湿原が点在し、豊かな自然が広がっています。これらの湿原を含む籾糠山一帯は、岐阜県の天生県立自然公園に指定されています。

歴史と文化

天生峠は、止利仏師の生誕地とする伝承も残っています。止利仏師は渡来人の一族とされています。また、泉鏡花の小説『高野聖』では、語り部である僧侶がかつて旅をした地として、天生峠が登場します。これらの伝承や文学作品を通して、天生峠は歴史と文化を感じられる場所でもあります。

周辺情報

白川郷: 合掌造りの家屋で知られる世界遺産。
天生湿原: 日本の重要湿地500に選定されている貴重な湿原。
飛騨・美濃紅葉三十三選: 天生峠周辺も選定されている紅葉の名所。

関連項目

日本の峠一覧
泉鏡花 - 代表作「高野聖」の舞台
飛驒トンネル - 天生峠の南を貫く東海北陸自動車道のトンネル。建設当初は「天生トンネル」という名称だった。

天生峠は、豊かな自然と歴史を感じられる場所であり、ドライブやハイキングに訪れる人々にとって魅力的なスポットとなっています。しかし、冬季の閉鎖や道路状況の変化に注意が必要です。

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