高原川

高原川：急流と温泉、そして公害の歴史

高原川は、岐阜県北部と富山県を流れる神通川水系に属する河川です。その源流は、岐阜県高山市と長野県境に位置する乗鞍岳の北麓にあり、そこから急峻な地形を流れ下ります。特に、奥飛騨温泉郷の平湯や福地といった集落を通り、栃尾で蒲田川と合流するまでは、平湯川やもずも川とも呼ばれています。

地理的な特徴

高原川は、蒲田川合流後、西へと流れ、徐々に進路を北に変えながら、飛騨市の旧神岡町市街地を貫流します。そして、飛騨市北端で富山県境に達し、宮川と合流し、最終的には神通川となって日本海へと注ぎます。流域は非常に急峻な地形であり、標高1,300〜2,000mの飛騨高地を、標高差1,000m以上もの断崖を作りながら流れ下る様子は圧巻です。

特に、神岡市街地である船津は、すり鉢の底に例えられるほど周囲を山に囲まれており、川に沿って走る国道41号には、多くのトンネルが建設されています。この地形は、高原川が作り出した自然の造形であり、同時にこの地域の交通網を考える上での難所でもあります。

跡津川断層と高原川

高原川の流路には、特筆すべき点があります。それは、跡津川断層という大規模な断層が、高原川と交差していることです。この断層は、富山県の有峰湖から白川村まで、全長約70kmに及ぶ右横ずれ断層であり、高原川は、船津より北へ約6km、漆山集落から土集落にかけての区間で断層線と交わっています。この断層運動によって、高原川の流路は明確に屈曲しており、自然の力の大きさを感じさせます。

イタイイタイ病：公害の歴史

しかし、高原川は美しい自然ばかりではありません。過去には、深刻な公害問題も抱えていました。四大公害病の一つであるイタイイタイ病は、神岡鉱山から高原川に廃棄された鉱業廃液によって引き起こされました。この病は、カドミウムが原因で、人体に深刻な影響を与えました。この出来事は、自然と人間の関係を考える上で、重要な教訓を与えてくれます。

流域の自治体と支流

高原川の流域には、岐阜県の高山市や飛騨市、そして富山県の富山市が含まれています。主な支流としては、蒲田川、双六川（金木戸川）、蔵柱川、吉田川、山田川、跡津川などがあります。

ダムと橋梁

また、高原川には、浅井田ダムや支流の双六川に双六ダムといったダムが建設されています。かつては、貯木場から上流の双六川、金木戸川沿いに森林鉄道が敷かれていましたが、現在は廃止されています。

橋梁としては、道路橋の宝橋、柳橋、新吉野大橋、釣瓶橋、神岡大橋、高原川橋、新猪谷橋などがあります。特に新猪谷橋は、1964年に建設された全長72mのトラス橋で、歴史を感じさせます。

鉄道橋としては、神岡鉄道神岡線（廃線）の第一から第四高原川橋梁があり、かつての鉄道の姿を偲ばせてくれます。

関連情報

高原川流域には、灘見島という中州が存在します。また、かつて神岡鉱山で活躍した神岡鉄道は、廃線となりましたが、その遺構が残っています。


高原川は、その美しい自然と急流、そして歴史と教訓を私たちに伝えてくれる、多様な側面を持つ川です。

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