路傍の石幼少年文学賞

路傍の石幼少年文学賞

路傍の石幼少年文学賞（ろぼうのいしようしょうねんぶんがくしょう）は、公益財団法人石川文化事業財団によって設けられた文学賞の一つです。国民的作家である山本有三氏の、特にその代表作『路傍の石』に象徴される功績を称え、顕彰するために創設されました。

この賞は、1986年に同財団が主催する路傍の石文学賞から独立する形で新たに設けられました。その目的は、幼年および少年の読書に適した、特に優れた文学作品を生み出した作者に贈られることにありました。文学の振興、特に未来を担う子どもたちの感性を育む読書活動を支援することを目指していました。

選考は年度を対象として行われ、授賞式は毎年2月から3月にかけて開催されていました。授賞式の会場は東京都千代田区にあるお茶の水スクエアカザルスホールで、ここには同財団が主催する路傍の石文学賞や山本有三記念郷土文化賞の受賞者も集い、合同で式典が行われていました。

賞の授与は、路傍の石文学賞の選考基準に合わせる形で、1987年の第9回から開始されました。しかし、2001年にこの賞はそれまでの独立した部門としての位置づけを終え、再び路傍の石文学賞の選考対象作品の中に含められることとなりました。これに伴い、2001年の第23回をもって、路傍の石幼少年文学賞としての歴史に幕を下ろしました。

歴代受賞者

路傍の石幼少年文学賞で表彰された主な作家とその作品は以下の通りです。

第9回（1987年）：松野正子 - 『森のうそくいどり』、『しゃぼんだまにのって』
第10回（1988年）：今村葦子 - 『ふたつの家のちえ子』、『良夫とかな子』、『あほうどり』
第11回（1989年）：森山京 - 『きつねのこ』シリーズ
第12回（1990年）：長新太 - 『ヘンテコどうぶつ日記』、『トリとボク』
第13回（1991年）：斉藤洋 - 『ルドルフとイッパイアッテナ』、『ペンギンハウスのメリークリスマス』
第14回（1992年）：いとうひろし - 『おさるのまいにち』、『おさるはおさる』
第15回（1993年）：岡田淳 - 『びりっかすの神さま』、『星モグラサンジの伝説』
第16回（1994年）：きたやまようこ - 『りっぱな犬になる方法』、『じんぺいの絵日記』
第17回（1995年）：竹下文子 - 『黒ねこサンゴロウ<1>旅のはじまり』、『黒ねこサンゴロウ<2>キララの海へ』
第18回（1996年）：高楼方子 - 『へんてこもりにいこうよ』、『いたずらおばあさん』
第19回（1997年）：松居スーザン - 『森のおはなし』、『はらっぱのおはなし』
第20回（1998年）：該当者なし
第21回（1999年）：該当者なし
第22回（2000年）：該当者なし
* 第23回（2001年）：該当者なし

第20回以降は残念ながら該当者が出ないまま、賞は統合されることとなりましたが、その短い歴史の中で、多くの優れた幼少年文学作品とその作者たちを顕彰し、児童文学界に貢献した意義深い賞でした。

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