踏切支障報知装置

踏切支障報知装置（ふみきりししょうほうちそうち）

踏切支障報知装置は、踏切で車両が立ち往生するなどの危険な事態が発生した際に、それを駅や列車に通知するための重要な保安機器です。この装置は一般に「踏切非常ボタン」として知られています。

概要

この装置は、踏切の柱に取り付けられたボックスに収納されており、周辺には使用方法や連絡先が記載された表示板が設置されています。これにより、利用者が簡単に使用することができ、適切な連絡先（主に事業者の運転指令所）に知らせることが可能になります。

ボタンを押すと、信号機に停止信号が表示され、同時に柱にある信号炎管や特殊信号発光機を通じて、踏切の近くを通過する列車の運転士に危険を警告します。ボタンのデザインやボックスの形状は製造メーカーや路線によって異なり、灰色のボックスが赤く縁取られたものや、黄色のバージョン、さらに発光ダイオードを使用したものなどが存在します。

日本の踏切では、複線区間においてすべての踏切で、警報機が設置されている場合には、この支障報知装置の設置が国土交通省の省令により義務付けられています。これにより、踏切周辺の安全を確保し、事故を未然に防ぐための重要な役割を果たしています。

歴史

この装置の実用化試験は、1964年2月19日に中央本線の文化園踏切で行われ、その後日本国内の国鉄路線において本格的な整備が進められました。このようにして、踏切支障報知装置は次第に踏切安全のための標準的な装置として定着してきました。

その他の情報

踏切支障報知装置には、故意にボタンを押すことで列車の運行に影響を及ぼした場合、業務妨害罪や鉄道営業法違反として法的措置を受ける可能性があり、さらに鉄道会社から損害賠償を請求されることもあります。このため、悪戯でボタンを押すことがないように、上部には「いたずらするとしかられます」という注意書きが平仮名で貼られている場合もあります。

また、2017年には小田急電鉄の路線で火災が発生し、近くの踏切支障報知装置が作動したことで、列車が火災現場の近くに停車せざるを得なかったという事例もあります。このように、踏切支障報知装置は非常時の安全確保に重要な役割を果たし、その機能が発揮されることがあります。

この装置は、列車の運行を円滑にし、安全性を向上させるために欠かせないものです。踏切を利用する際には、その重要性を理解し、非常時には正しく使用することが求められます。

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