車輪配置 2-6-4

車輪配置 2-6-4（アドリアティック）

車輪配置2-6-4は、蒸気機関車の設計の一種で、2つの先輪、6つの動輪、4つの従輪から成り立っています。この配置は、蒸気機関車において「アドリアティック」という別名も持ち、主にタンク機関車に多く見られます。特に、タンク機関車はその形式を表すために、例えば「2-6-4T」といった表記が使われます。これは、タンク機関車であることを示す接尾文字です。

テンダー機関車の歴史

2-6-4のテンダー機関車について最初に言及するべきは、南アフリカ国鉄の6Z形です。この機関車は1901年にケープ植民地鉄道の主任機関車監督だったH.M.ビーティによって設計され、もともとは車輪配置2-6-2のプレーリータイプの機関車が、後に改造されて車輪配置が2-6-4に変更されました。1902年には、初めてこの配置で製造された機関車が運行を始めており、世界初のテンダー機関車として特筆すべき存在です。

タンク機関車の利用

一方、タンク機関車においてもこの配置は広く使われており、特に貨物輸送や近郊旅客列車での使用が一般的です。急行旅客列車での採用例は多くないものの、アフリカの南部では1898年製の南アフリカ国鉄D形蒸気機関車が2-6-4配置として知られています。

各国の事例

オーストリア

オーストリアでは1908年製の210形と1911年製の310形という二つの急行用テンダー機関車が、この車輪配置を持っていました。これらはカール・ゲルスドルフによる設計で、後に「アドリアティック」という名前が付けられました。

フィンランド

フィンランドではVk1形、Vk2形、Vk3形の3つのタンク機関車が2-6-4配置で製造されました。特にVk1形はアメリカのボールドウィン・ロコモティブ・ワークスで製造され、「アメリカン」としても知られています。

ドイツ

ドイツでは、連邦鉄道の66形タンク機関車が1955年に製造され、高速貨物や旅客列車に使用されていました。2両は1968年まで使用され、その後ボーフム・ダールハウゼン鉄道で動態保存されています。

スウェーデン

スウェーデン国鉄のSB形とJ形蒸気機関車はそれぞれ1917年と1914年から1918年にかけて製造され、多くが保存されています。

スイス

スイスでは、1913年に製造されたタンク機関車がフランスとスイスを結ぶ列車に使用され、当時は電化されていませんでした。

ニュージーランド

ニュージーランドでは、クライストチャーチのフェリーミード鉄道で定期運行されていたタンク機関車が2009年まで活躍していました。また、Wf形蒸気機関車も汎用機として広く使用され、現在も動態保存されている機関車が存在します。

南アフリカ

南アフリカでは、1898年から1900年の間に製造されたプレトリア・ピーターズブルグ鉄道の機関車が、この車輪配置を取り入れており、その後も南アフリカ国鉄6Z形に編入されました。

イギリス

イギリスでは1904年に狭軌のタンク機関車が最初に製造され、1914年にはグレート・セントラル鉄道用の標準軌機関車が登場しました。1914年以降、様々な改良型が開発され、近郊旅客列車用に多くの2-6-4タンク機関車が生産されました。

日本

日本でも、この車輪配置の機関車が数種類製造されており、国鉄3700形やC10形、C11形が代表的な存在です。特にC11形は多くの派生機を生み出し、大規模に製造されました。

結論

車輪配置2-6-4は、さまざまな国で多様な用途に応じて利用されてきた重要な蒸気機関車の設計です。この配置は、それぞれの国の鉄道史においても特異な役割を果たし、多くの関心を集めています。

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