軍学

軍学の概要

軍学（ぐんがく）とは、兵法に基づく用兵や戦術に関する学問を指します。この分野を研究する専門家を「軍学者」と称します。軍学は歴史的に西洋や中国、日本の各地域で発展を遂げてきました。

歴史的背景

西洋の軍学

西洋における軍事に関する学問は、古代ギリシャやローマの時代にまで遡ります。ニッコロ・マキャヴェッリの戦略や理論は、この時期の重要な発展の一つとして知られています。

中国の軍学

中国の古典には、軍事に関する代表的な書物として『孫子』や『呉子』、そして『六韜』が存在します。特に、『孫子』や『呉子』を含む七部の兵書は「七書」として広く知られており、兵法の基礎ともなっています。

日本の軍学

日本においては、668年に編纂された『日本書紀』の中で、渡来人の兵法学者が記されています。室町時代の末期には、『平家物語』や『義経記』、『太平記』といった文学作品が武士の間で広まり、特に義経流や楠流の武士たちの軍学が発展しました。

五大流派

江戸時代には、兵法の流派が確立され、以下の5つの主要な流派が登場しました。
1. 甲州流 - 小幡景憲を祖とし、杉山流や小早川流、北条流、山鹿流など傍系があります。
2. 北条流 - 北条氏長を祖とし、西洋の兵法を取り入れながら小幡流を継承しました。
3. 山鹿流 - 山鹿素行が創始し、甲州流と北条流を基盤にしているとされ、平戸の山鹿家や弘前の津軽山鹿家など、学閥を有します。
4. 越後流 - 宇佐美流や神徳流、要門流などを含み、沢崎景実が中興の祖とされています。
5. 長沼流 - 長沼宗敬を祖とし、主に甲州流を学び、中国の兵書に重きを置いています。

江戸時代の軍学は、平和な時代においても軍事的な知識を持ち続けることを目的とした学問であり、実戦に活かされる機会は少なかったです。近世には、天文学の知識も重要視されました。

主要な著作

各流派には、代表的な著作が存在します。

• - 甲陽軍鑑 - 甲州流に関する書｡1621年に原形が成立。
• - 士鑑用法 - 北条流における著作で、1646年に自序。
• - 城塞繹史 - 山鹿流の書。
• - 宇佐美伝記 - 宇佐美流に関する著作で、1652年に成立。
• - 兵要録 - 長沼流の著作。

軍事学との関係

近代以降、軍事についての学問は「軍事学」として体系化されました。現代のロジックに基づく軍事問題吟味を行う兵頭二十八は、特定の専門知識に依存せず、社会全体を見渡した思考の重要性を強調しています。彼は、「軍学」を専門知識ではなく、より広範な分野での包括的な理解が求められる学問と位置付けています。

まとめ

軍学は、歴史的な影響を受けながら日本の中で独自の進化を続け、特に平和な時代に知識の伝承が重視されてきた学問です。近代の観点からも、その重要性が再認識されつつあります。

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