転作

転作（てんさく）とは

転作とは、同一の農地において、これまで栽培していた農作物とは異なる種類の農作物を栽培することを指します。これは、農業経営の多角化や、特定の農作物の過剰生産を防ぐための手段として行われます。

転作の定義

転作には広義と狭義の2つの定義が存在します。

広義の転作: 数種類の農作物を数年ごとにローテーションで栽培する輪作のように、将来的に元の農作物を再び栽培することを前提として、一時的に種類を変えることを含みます。
狭義の転作: 現在栽培している農作物を将来的に再び栽培することを前提とせず、単に農作物の種類を変えることのみを意味します。特に、水田で稲作から麦、豆、野菜、飼料作物、園芸作物など、他の農作物を栽培することを指す場合が多いです。

日本における転作の背景

1970年代以降の日本においては、米の過剰生産、いわゆる米余り現象が深刻化しました。これに対し、政府は減反政策を導入し、水田からの転作を推進しました。具体的には、転作を行う農地には転作奨励金を補助する一方、目標面積分の転作を達成することを稲作に対する補助金支給の条件とするなど、半ば義務的な転作が進められました。

転作が行われた農地は「転作地」、特に水田の場合は「転作田」と呼ばれます。

転作の目的

転作は、以下のような目的で行われます。

米の生産調整: 米余り対策として、米の生産量を調整する。
農地の有効活用: 米以外の作物を栽培することで、農地の有効活用を図る。
連作障害の回避: 同じ作物を連作することで発生する病害虫の発生や土壌の栄養バランスの偏りを防ぐ。
経営の多角化: 複数の作物を栽培することで、収入源を多様化し、経営の安定化を図る。
需要の変化への対応: 消費者のニーズに合わせて、米以外の作物を栽培する。

転作の種類

転作の種類は多岐にわたりますが、主なものとしては以下のようなものがあります。

麦類: 小麦、大麦など
豆類: 大豆、小豆など
野菜: キャベツ、レタス、トマトなど
飼料作物: トウモロコシ、ソルガムなど
園芸作物: 花卉、果樹など

転作の課題

転作には、以下のような課題も存在します。

栽培技術の習得: これまで栽培していなかった作物を栽培するため、新たな栽培技術を習得する必要がある。
初期投資の負担: 新たな作物の栽培に必要な機械や設備を導入する必要がある場合、初期投資の負担が大きくなる。
販路の確保: 栽培した作物を販売するための販路を確保する必要がある。

これらの課題を克服するためには、技術指導や資金援助などの支援策が重要となります。

関連項目

輪作
* 減反政策

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