軽迫撃砲 (日本軍)

軽迫撃砲の歴史と特徴

軽迫撃砲（けいはくげきほう）は、日本の技術に基づいて開発された口径75mmの迫撃砲です。この武器は大日本帝国陸軍によって使用され、青島攻略戦やシベリア出兵といった実戦においても活躍しました。特に、第一次世界大戦中にはオーストラリア軍によって「ジャパニーズ・モーター」という名称で利用されました。

開発の背景

軽迫撃砲の開発は日露戦争に遡ります。その当時、陸軍は塹壕を掘り進んでいく戦闘方法を採用しており、手榴弾や爆薬を使用した接近戦が主流でした。このような状況を受けて、工兵の今沢義雄中佐は、より遠距離から爆薬を投入する方法を模索しました。彼は木製の砲身に竹の箍をはめ込み、急造迫撃砲を設計しました。当初、これらの装置は実用化されませんでしたが、その後の研究が軽迫撃砲の開発に繋がったのです。

明治42年（1909年）には、陸軍技術審査部が迫撃砲についての制式調査を行い、1911年には大小2種類の迫撃砲の設計を進めました。これにより、大型の「九珊迫撃砲」と小型の「七珊迫撃砲」が設計され、後者が軽迫撃砲として認識されることになりました。

軽迫撃砲の特徴

軽迫撃砲はスピガット・モーター式で、発射速度は毎分1発です。射程は使用する弾の種類によって異なりますが、最大650mに達します。砲弾は弾体と柄棹で構成されており、一発ごとの威力は非常に高いものの、飛翔速度が遅く風による影響を受けやすいため命中精度が低いのが短所でした。

このため、軽迫撃砲を運用する際は、目標に近づいて使用する必要がありました。扱いが難しいという特性を補うためには、複数の砲を集中して使用する必要がありましたが、これは敵からの反撃を受けやすい危険を伴います。

実戦での使用

1914年に第一次世界大戦が開戦すると、日本陸軍は連合国として参戦し、青島のドイツ軍を攻略するために軽迫撃砲を戦場に投入しました。この戦闘では新式の攻城砲や改造された高射砲、そして軽迫撃砲が使用されました。さらに、1917年からのシベリア出兵に際しても、軽迫撃砲が実戦において配備されました。

シベリアでの使用では、砲弾の凍土での挙動に問題があり、着弾時に弾体の分離などが発生しました。このことから、軽迫撃砲が抱える射程や発射精度の限界が指摘され、さらなる改善が求められることになりました。

オーストラリア軍での運用

第一次世界大戦に際し、オーストラリアは日本から軽迫撃砲を供給され、「ジャパニーズ・モーター」と呼ばれて運用されました。1915年のガリポリの戦いでは、他の火砲と共にオスマン帝国軍に対抗して使用され、戦局に貢献しました。現在も、この軽迫撃砲の実物はオーストラリア戦争博物館で展示されています。

軽迫撃砲はその独特の設計と日本の軍事史における重要な位置づけから、軍事と技術の進化を示す一例として評価されています。歴史的な役割の一環として、この武器は多くの戦闘で使用され、多様な環境で実戦的な知見をもたらしました。

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