辰巳佐太郎

辰巳佐太郎：東大阪市の礎を築いた初代市長

辰巳佐太郎（1903年8月25日 - 1990年1月25日）は、日本の政治家であり、大阪府東大阪市の初代市長としてその名を知られています。また、東大阪市誕生前の布施市においては、最後の市長（第8代）を務めました。さらに、大阪府議会議長を二度（第52代、第55代）務めるなど、地方政治において重要な役割を果たしました。

生涯と政治活動

大阪府出身の辰巳佐太郎は、1931年（昭和6年）に中央大学を卒業しました。政治の世界に入ったのは1937年（昭和12年）、布施市が発足した時で、市会議員として市政に参画しました。太平洋戦争後の1951年、大阪府議会議員に転身し、連続3期にわたり府政に貢献しました。1963年には、布施市長に就任し、その手腕を発揮しました。

市長としての活動と並行して、布施商業会議所会頭、自由民主党布施支部長、自民党大阪府連選対副委員長などの要職も務め、地域経済の振興や党勢拡大に尽力しました。

東大阪市の初代市長として

1967年、布施市は河内市、枚岡市と合併し、新たに東大阪市が誕生しました。この合併に伴い、布施市長であった辰巳佐太郎が初代市長に就任しました。初代市長として、辰巳は東大阪市の基礎を築くために尽力しました。

市長就任後、まず取り組んだのは市の総合計画の策定でした。計画的な市政運営を目指し、様々な政策を打ち出しました。特に力を入れたのは下水道の整備であり、「下水道市長」と呼ばれるほど、下水道の普及に貢献しました。また、道路整備にも注力し、大阪府道2号大阪中央環状線（大阪外環状線）などの主要道路を完成させ、都市基盤の整備に大きく貢献しました。

市長退任とその後

初代市長として東大阪市の発展に尽力した辰巳佐太郎でしたが、1970年6月の市長選で日本社会党・日本共産党推薦の伏見格之助との一騎打ちに敗れました。得票率は45.47%（5万8,914票）にとどまり、再選は果たせませんでした。

短い期間ではありましたが、辰巳佐太郎が東大阪市の初代市長として行った政策は、その後の東大阪市の発展に大きな影響を与えました。特に、下水道の整備や道路建設は、都市の機能性を高め、市民の生活の質を向上させる上で重要な役割を果たしました。その功績は、今もなお東大阪市民に語り継がれています。

参考文献

『日本人事録 第6版 全国篇』中央探偵社、1963年。
歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第2巻、歴代知事編纂会、1983年。
* 『「現代物故者事典」総索引 : 昭和元年～平成23年 1 (政治・経済・社会篇)』日外アソシエーツ株式会社、2012年。

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