農業基本法

農業基本法について

農業基本法（のうぎょうきほんほう）は、1950年代末に制定された日本の重要な法律で、農業に関する政策の枠組みを明示するために策定されました。この法律は通称「農業界の憲法」とも呼ばれ、農業政策の根幹を支える役割を果たしました。法案は1961年に施行されましたが、その後1999年に食料・農業・農村基本法が導入されることで廃止されました。

法律の目的と背景

農業基本法は、日本の農業生産性向上と農家所得の増大を主な目標としていました。高度経済成長に伴い、農業と工業の間には所得格差が拡大し、これが社会問題となりました。法はこの格差の是正を目指し、農業の構造改善や高度な農業機械の導入を推進しました。実際に、農業基本法の施行によって農業の生産性は大幅に向上し、農家の所得も増加しましたが、同時に農業の兼業化が進展し、労働力の流出という問題も引き起こされました。

特に、農業の近代化政策が進むにつれて、従来の農業に従事していた人々が都市部に移り住むことが多くなり、結果として農村での労働力不足が生じて、食料自給率の低下を招く要因ともなったのです。

制定過程

農業基本法は1960年代初頭に制定されることが決定されました。1960年5月10日、農林漁業基本問題調査会は、農業の自主性を高めることや、低生産性農家の離農を促進する基本問題および対策についての答申を行いました。これを受けて、農林省は新たな農林漁業政策の一環として農業基本法の制定を発表しました。具体的には、農業基本法の試案が1960年10月に発表され、その後の議論を経て1961年2月18日に日本の国会に提出されました。

その後、法案は衆議院および参議院を通過し、最終的に1961年6月12日に公布されました。このように、農業基本法の制定には多くの関係者の協力と議論があったことが伺えます。

法律の主要な構成

農業基本法は、以下のような構成を持っていました：

• - 前文
• - 第1章 総則（第1条 - 第7条）: 法の目的や基本理念を述べる部門。
• - 第2章 農業生産（第8条 - 第10条）: 農業生産の向上についての規定。
• - 第3章 農産物等の価格及び流通（第11条 - 第14条）: 農産物の価格維持や流通の円滑化に関する内容。
• - 第4章 農業構造の改善等（第15条 - 第22条）: 農業の構造的改善に向けた施策。
• - 第5章 農業行政機関及び農業団体（第23条 - 第24条）: 行政機関や農業団体についての規定。
• - 第6章 農政審議会（第25条 - 第29条）: 農政の審議機関に関する内容。
• - 附則: 法律施行に関する細則。

余談

農業基本法に関連する制度や団体としては、食糧管理制度や農業協同組合、三ちゃん農業などが代表的です。これらは、農業の発展や支援に寄与し、持続可能な農業の実現を目指しています。

農業基本法は日本の農業政策の基礎を築くものであり、その影響は今でも多くの分野に及んでいます。

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