農道離着陸場

農道離着陸場とは

農道離着陸場は、日本の農林水産省が1988年から1988年まで進めた整備事業によって誕生した、特異な種の飛行場です。農道を拡幅して作られるこの施設は、別名「農道空港」とも呼ばれ、空港法においては場外離着陸場に分類されます。この取り組みの根底には、農業振興のために小型飛行機による高付加価値の農産物の空輸を促進しようという方針がありました。しかし、実際には多くの課題が発生し、期待された効果は得られませんでした。

背景と経緯

1980年代後半、日本の経済は拡大を続けていました。この時期、地方自治体や農林水産省は、地区の農業の活性化を図るために、農道を利用した空輸の可能性に目を向けました。しかし、輸送コストの高さや建設・維持の負担、また運輸省との競合など、懸念事項は多数存在しました。それでも、1989年には美唄市で初めての輸送実験が行われ、計画は継続されていきます。初期段階から運航の問題が浮上しつつも、事業は大きな見直しもなく進行しました。

最終的には、北海道の新得町や岡山県の笠岡市などを含む8か所が農道離着陸場として整備され、1998年に最終施設が開業しました。

特徴

この農道離着陸場は、すべてが同一の基準で建設されており、800メートルの滑走路長と25メートルの幅を持っています。運用は昼間のみで、冬季には積雪の影響で閉鎖されるところもあります。また、地形や風の影響を受けやすいのも特徴です。離着陸に関して情報を得られるサービスや給油設備が揃っている離着陸場は限定的です。

利用上の問題点

農道離着陸場設立から間もなく、実際の運行に様々な問題が浮上しました。特に、新得町農道離着陸場では初年度の就航率が約63%にとどまり、悪天候時には運行がままならぬ状況が続きました。さらに、補助金を受けていた農家では農産物の生産が減少し、空輸実績が著しく低下。今年1997年には新得町の空輸実績がゼロになる事態も発生しました。また、輸送基盤としての機能を果たせなかったことで、全ての農道離着陸場が赤字経営となるほどでした。

活用の模索

2000年以降、農道離着陸場の利用方法は変化を見せました。北海道庁が防災ヘリコプターの離着陸場として利用を開始したほか、無線設備を整備し軽飛行機のイベントにも対応するようになりました。さらに、2001年には農産物輸送以外の利用が正式に認められ、許可された新たな利用方法としてドクターヘリや防災訓練の拠点としても活用されるようになりました。

また、滑走路の広さを活かしてイベント会場としての貸出も進められ、地域の祭りや大会の開催地としても利用されています。これにより、農道離着陸場はその本来の目的からの脱却を余儀なくされていますが、その一方で地域における活用法が模索され続けています。

今後も農道離着陸場は、農業以外の多様な利用方法が求められることが予想され、多くの施設が地域に根ざした形で存続する可能性が高まっていると言えるでしょう。

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